山スキー用兼用靴(ダイナフイット・ツアーライト3 Dynafit TLT3 tour lite)を再度修理
バックルのベルトがプラスチックの劣化で折れて買い替えたツアーライト3(山スキー用兼用靴(ダイナフイット・ツアーライト3)の破損、修理)ですが、バックル以外はシェル本体やカフなどは外観上劣化があまり感じられず、しかもこんなに古い兼用靴なのにテックビンディング対応になっているので、一度はテックビンディングで使ってみたいと思い無謀にも復活させてみました。(このブーツのカフにあるロゴを見ると"TLT3 tour lite"とありますので、現行品では"TLT6"のTLT専用ブーツの流れの製品のようです)
まずバックルのベルトは耐久性のいいステンレスワイヤーで製作しました。熱収縮チューブを被せたワイヤーをループ状にして圧着し、両端に靴本体とバックルのピンに引っかけて、ワイヤーを固定する金具をアルミ板で作りました。バックルも靴本体に引っかけるプラスチックの部品が劣化しているのでアルミ製のものを自作しました。平角棒(3mm×15mm)と角パイプ2種(12mm×12mm、20mm×20mm)から製作した3点の部品をねじ止めして作りました。可動部や本体に引っかける部分等のピン類はもとについていたものを外してそのまま再利用しています。
これでシェル本体が壊れない限り使用可能な状態となりましたが、Vipec12に装着したツアーライト3を見ると新しいテックビンディングにこんな古い靴が!となんだか不思議な感じです。あくまでも通常の山行に使用するのではなく、ゲレンデスキーやゲレンデ周辺のごく軽いツアーに限定で機会があれば使ってみようと考えていますが、ちょうど購入から20年が経過し本当の使用限界がいつ来るのか見届けたいと思います。
20年程前にはプラスチック製のブーツが粉々に破損する事例が多発して加水分解による劣化が大きな問題になっていました。私もプラブーツが割れたのを経験していますが(割れたプラブーツ)、近ごろはそのような事例に遭遇する事もすっかりなくなった気がします。スキー靴の寿命については業界では5年という数値を出していますが(日本スキー産業振興協会HP)、ウレタンの種類によっては加水分解しにくいものもあるという事を最近知りました。
ウレタン材料は配合から大きく分けるとウレタンエーテル系(耐水用)とウレタンエステル系(耐強度)の二系統になるそうです(華陽物産 株式会社HP)。エステル系は強度的には良好ですが加水分解には弱いらしく、以前劣化で破損していたブーツはこのエステル系のウレタンを使っていたらしいということです。最近のものは加水分解に強いエーテル系のものを使っているので以前のようなことはないようですが、メーカーによってはブーツがどのような素材で作られているか表示されているものもあります。
ツアーライト3がどのような素材で作られたかは定かではありませんが、少なくともシェル本体は20年経てもまだ破損していませんのでエーテル系の素材で作られているのではないかと推測します。一方、破損したバックル類は部分的に強度が必要な部品なので強度的に優れたエステル系のものが使われた可能性があるのではないか?などとも想像してしまいます。
追記:
3月に草津国際スキー場にて家内がゲレンデでTRAB TOUR RANDO+Vipec12との組み合わせで1日使用しましたが、とりあえず問題なく使うことが出来ました。購入20年目にしてテックビンディング初使用でしたが、コバを押さえて面で支持する従来のビンディングよりもピンで支持するテックビンディングは応力が狭い範囲にかかり破損しやすい気がするのですが、それでも壊れないという事はまだしばらくは使えるのでは??と思いました。
注)古いプラスチック製品は経年劣化していますので、このような改造は絶対にしないでください。耐用年数を過ぎた古い製品を使用するのは大変危険です。
(2016年2月記、3月追記)