銀座山の会 山スキー50ルート  No.44
北アルプス 黒部五郎岳〜ウマ沢右岸〜薬師沢左俣右岸尾根 山スキー

1999年4月29日〜5月3日  メンバー:舘野L,森田

5/1 今日は今回の山行中最長の行程になる1日である。5時起きでカレーうどんを作って食べ、6:00出発。北ノ又岳まで順調に登り、例の大トラバースにかかる。以前、室堂から上高地へ縦走した時を思い出しなんとなく懐かしさすら感じてしまうのはおかしなものだ。たった10分ほどで中俣乗越まで到着してしまう。そこから黒部五郎岳の途中まではシールで歩くが上部はまだ硬く、アイゼンに履き替えて肩まで登る。
 まだ時間が早く、斜面はクラストしているので山頂まで板を持っていくか一瞬考えたが、ここまで来たのだからやはり板と一緒に山頂へ。山頂では昨日に引き続き素晴らしい展望をほしいままに小休止。
 さていよいよ滑降に移るが、さすがに山頂直下の斜面は硬く、慎重に下るが、私はどうも板がばたついてしまい、いつもの調子が出ない。今シーズン替えたスキー板の所為かと思ったが、同じ板を履いている舘野さんは全く問題なさそうに下りていくのでやはり技術の問題か!と少々精神的ダメージを受ける。それでもウマ沢の右岸に入ると全く解消して実に快適な滑降となる。もったいないので途中で一度休憩するが、この尾根は最下部以外は樹林も疎らで、傾斜は緩いがとても楽しく滑る事が出来る。
 赤木沢出合ももうすぐになって、ウマ沢も流れが顔を出し始めたので2150m地点で左岸に渡り、少し登って尾根を乗越し、再び赤木沢まで滑り降りて今度は赤木沢の左岸の尾根に取り付く。しばらくは樹林の中の急登だが、途中、流水で喉を潤す事が出来た。一登りで傾斜の緩い尾根に出る。ここから今滑ってきた黒部五郎岳からウマ沢右岸の斜面が一望出来、「あんなところから来たんだ!」とスキーの機動力に我ながら感心する。
 傾斜が無くなり赤木平へトラバース気味に登る辺りから右足親指の付け根にできたまめが割れたらしく少々痛い。赤木平からの薬師沢左俣右岸尾根は、一見樹林が濃そうに見えるが、中に入ると見事な針葉樹の巨木で樹間は滑るには充分である。おまけに傾斜もかなりあり、想像以上にとても楽しめた。途中からは左俣に下りてそのまま出合まで沢沿いを流し本日の滑降は終了。あとはふらふらになりながら薬師沢中俣をつめて太郎平小屋まで戻った。さすがに疲れた。
 今日も1日快晴の下、充実感満点の最高に素晴らしくも長い1日であった。

5/2 今日も朝から快晴である。あまりの晴天続きに休養が取れないといううれしい悲鳴をよそに本日は薬師岳西面に向かう。西面は雪が緩むのも遅く、行程も短いのでのんびりと8:48出発する。小屋の前で準備していると、ヘリコプターがやってきて中から荷物と共に山スキー客が数名下りてくる。
 薬師岳山頂からは雪付きが悪く滑降不能なのがわかっていたので、避難小屋まで登りそこから滑降を開始する。さすがに上部はクラストしていて慎重に下りるが、スピードが出過ぎないようにターンを細かく刻んで行けば全く問題なく、思わず狂喜してしまうほど素晴らしい。この斜面は、今回の山行中もっとも広々としていて実に気持ちいい。
 快適な斜面というのは本当にあっという間に終わってしまうもので、 2450m地点で小休止。 自分たちのシュプールを見ながらのコーヒーはまた格別だ。下から見上げる薬師岳と鳶谷源頭は、多少木があるもののオートルートを彷彿とさせる程である(月並みな表現ではあるが・・・)。  ここからわずかな登りで今回滑る予定の尾根の分岐につく。そこからは岩井谷に向かってどこまでもどこまでも適度な傾斜の素晴らしい尾根が続く。最後に尾根末端の急斜面を岩井谷に滑り降りると滑降終了。あとは折立からの登山道のある尾根に登り返し、本日の夢のような滑降の余韻に浸りながら小屋へと向かった。
 夕方、今日薬師峠にテントを張ったTKCのメンバーに会いに行く。すでにテント設営後、薬師峠周辺をひと滑りして来たそうである。
 その晩は自炊で再びメニューはジフィーズカレーあったが、小屋の方に揚げたてのコロッケを差し入れていただいき、大変美味しかった。ありがとうございました。

5/3 とうとう下山の日だ。午後から天気が崩れるという事だったので早々に出発。最初は一昨日登った斜面だが、入山したときはシュプールひとつ無かったこの斜面も今はゲレンデのようだ。北ノ俣岳手前の神岡新道分岐でシールを外す。ここからは無木立の大斜面が広がっている。登りは苦労したこの斜面も滑ればあっという間。登りでわからなかった避難小屋も今度は見つける事ができた。
 樹林帯に入ってからも結構スキー板が使え、寺地山への登りなどで数回板を外す事もあったが、おおむね快適に1643m標高点手前まで滑って来れた。あとは板を背負ってすでに雪の無い登山道を兼用靴をどろどろにして下りていった。
 帰路は山吹峠経由で上宝村に出るルートをとったのでかなり時間短縮出来たと思ったが、上高地近辺,中央道としっかり渋滞にはまり、帰宅は深夜になってしまった。

コースタイム
5/1  太郎平小屋(6:20)〜北ノ俣岳(7:35)〜中俣乗越(7:55)〜黒部五郎岳山頂(10:10)
   〜ウマ沢横断地点(11:23)〜赤木沢横断地点(11:52)〜赤木平(13:30)
   〜薬師沢左俣2050m地点(13:56)〜太郎平小屋(15:45)
5/2  太郎平小屋(8:48)〜薬師岳山荘(10:05)〜避難小屋(10:55)〜2450m地点(11:40)
    〜尾根分岐(12:21)〜岩井谷(12:59)〜太郎平小屋(14:09)
5/3  太郎平小屋(7:30)〜神岡新道分岐(8:25)〜寺地山(9:05)〜飛越新道分岐(9:48)〜登山口(10:55)

地形図


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