谷川連峰 白毛門沢 山スキー


2008年3月9日  メンバー:森田


 夏に沢登りで白毛門沢を登ったのはもう15年も前になりますが、今回、ようやく山スキーで白毛門沢を再訪する機会に恵まれました。そういえば15年前も単独での遡行でしたが、今回も単独での山行です。

3/8 19:00自宅発。交通費節約の為、高速道路を全く使わずに現地まで行くことに。5時間20分かかってようやく到着。土合駅付近にて車中で仮眠。

3/9 素晴らしい晴天で夜が明ける。朝食もとらず6:10出発。白毛門登山口から東黒沢をスノーブリッジで渡り、板をザックにつけてつぼ足で尾根に取付く。トレースがあるので楽に登ることが出来るが、昨日若干降雪があったようだ。丁度1時間登ったところで休憩し朝食をとる。しばらく登ると右側に白毛門沢の下部が見えるようになる。
 さらにどんどん登り、森林限界を越えたあたりからは松ノ木沢ノ頭と白毛門が見えてくる。一方、左側には湯檜曽川を隔てて谷川岳の展望が素晴らしい。8:50松ノ木沢ノ頭に到着。ここから白毛門と白毛門沢の上部が一望できる。白毛門沢は所々に亀裂が入って少々嫌らしい感じだが何とか滑る事は出来そうだ。山頂直下の雪庇もあまり発達していないように見える。しかしそれよりもこの先、尾根上のトレースが途切れてしまっているのが気になるのだが・・・。
 案の定、途中で登りのトレースがなくなりラッセルとなってしまった。まさかこの雪山人気ルートでラッセルになるとはちょっと予想しなかった。たまたま一緒になった単独行の方に先頭を変わっていただいたりしながら進む(いつもの様に足がつって大変だったので大助かりでした。ありがとうございました)。途中、新雪に隠された亀裂にはまったり、潅木を踏み抜いたり少々難儀する場面もあったが、10:20白毛門の肩に到着。
 まず白毛門沢を覗き込むが、何とも素晴らしい斜面が続いているではないか!。雪庇も1ヶ所切れていて全く問題ない。昨日からの緊張感がここで一気に開放されてしまった様である(まだ滑っていないのに・・・)。板とザックを置いてすぐ横の山頂へ登る。無風快晴の山頂で、単独行の方と談笑しながら大休止。360度の大展望の中、昼寝でもしたい様な長閑な一時を過ごす。
 さて待望の滑降に移るが、雪がやや重くなり始めていたので板にワックスを塗り、雪庇の切れ目からいよいよ白毛門沢に飛び込む。期待と不安が交錯する何ともいえない瞬間だ。沢に入ると意外にも斜度はそれほどきつくは感じず、快適な滑降が出来る!と思ったのも束の間、2〜3ターンしたところで足元から表層雪崩が起きてしまい、一瞬にして眼下の沢がはるか下方まで雪崩跡とデブリに埋め尽くされた斜面に激変してしまった。まるでアニメーションでも見ているかのようで思わず吹き出してしまいそうであったが、笑っている場合ではない。
 不安定なデブリを避けて左に寄って滑ったところまた雪崩。今度は自分の方が先行してしまったので雪崩に押し倒されてしまった。仕方なく雪崩跡の固くなった斜面を、時折ザザーと雪が落ちる音を聞きながらジャンプターンを繰り返して高度を落とす。ジジ岩とババ岩を過ぎると傾斜も落ちてきてようやく安全圏といった感じとなる。振り返ると辺り一面雪で真っ白な中、門柱のように聳え立っているこの2つの岩は、夏に沢登りで見る時の姿よりも格段に印象的である。
 核心は終わったのであとはもう沢沿いに流すのみと思ったがそんなに甘くはなく、下は完全に雪が腐っていて滑りにくいこと甚だしい。途中1ヶ所、タラタラのセンらしきところは水流が出ていて左岸から巻き下るが、上から見ただけでは水が出ているのかどうかがよくわからないので要注意。
 滝の下で小休止し、安堵感からか少々空腹を感じたのでテルモスのお湯に雪を入れて冷たくしたものを飲みながら行動食を食べる。あとはもう山頂からの余韻に浸りながら沢沿いにどんどん下るのみである。東黒沢に合流すると水流が所々顔を出しているが右岸沿いに問題なく登山口まで滑り下りて滑降終了となる。
 下山後はいつものように谷川温泉の湯テルメ谷川で入浴し、昼食にざるそばを食べてからまた高速道路を使わない長い帰途につく・・・。


 以前から気になっていたルートである白毛門沢を無事滑降することができました。全く快適な滑降という訳にはいきませんでしたが、素晴らしい晴天の下、山頂直下から急傾斜の沢に飛び込む雰囲気を存分に楽しませてもらいました。条件が揃えばもっと快適な滑降も可能なのかもしれませんが、やはり上部は新雪が安定してとどまる事が出来る傾斜ではないのでしょう。新雪があれば雪崩、なければ滑落の危険が常につきまとうのは仕方がない事だと思いますので安易な行動は慎むべきでしょう。行動時間も短いので、好条件のときにのみ「ちょっとだけエクストリームな気分」を手軽に楽しむ好ルートだとは思うのですが・・・。


コースタイム
3/9 土合(6:10)―白毛門(10:20)―土合(12:25)

地形図
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