南会津 白戸川・メルガ股沢〜丸山岳
2008年10月11日〜13日 メンバー:森田CL、澤田石SL、浅原、石島、板倉、桑原、斎藤、佐治、嶋、徳山
2年続けて悪天で流れていたメルガ股沢〜丸山岳を今年こそはと10月3連休に計画しました。直前に風邪を引いてしまい、不安の中での出発となりましたが果たしてどうなる事か・・・。
10/10 桑原車、森田車それぞれ集合し関越道を北上、途中石島さんを花園道の駅で拾い上里SAに23:45集合。小出ICで下りて仮眠場所を探すが、浅原さんの情報で大湯温泉の「湯之谷村交流センター ユピオ」に行ってみるが建物の軒がとても大きく、雨が降っても快適に仮眠できる素晴らしい場所であった。軒下で宴会の後仮眠。
10/11 小雨が若干ぱらついている程度でそんなに悪くないのでは?と少々期待するがシルバーライン経由で奥只見ダムに移動すると本降りであった。元々今日の予報は悪いのはわかっていたので覚悟をきめて準備をして雨の中を歩き出す。
ゲートを乗り越え、舗装された林道をどんどん歩いていく。一旦下りきった辺りで只見川を回り込んで橋で渡る所を一部のメンバーはショートカットして渡渉するがそこでまさかの転倒、全身ずぶ濡れとなってしまった。今回、風邪をひいた状態での参加となってしまったので体調が心配だったのだが、やはりどうも調子が悪いようで何とも幸先の悪いスタートである。
袖沢沿いの歩きになるとなかなか景色もよく雨の中だが気分良く歩ける。右から南沢が入り、しばらく進むと左から袖沢乗越へ向かう支沢となる。踏み跡を辿って袖沢へ下り、袖沢を問題なく渡渉して支沢へ入る。
この沢は、小滝がある程度の小沢でロープを使うような所もなく登っていく。源頭が近づいたところで小滝の手前で右に赤布と踏み跡があり、滝の巻き道かもしれないが袖沢乗越への踏み跡の可能性もあるのでそちらへ入り登っていくと、しっかしりした踏み跡が沢から離れて先に続いている。雨でつるつる滑る急な踏み跡を登っていくと程なく袖沢乗越へ到着する。
小休止するが雨も小降りになってきてこのままあがってくれればと期待するがなかなかそうもいかず、下降を開始してしばらくするとまた本降りとなってしまった。この沢も特に問題となるところはないが、最後にメルガ股沢の出合が滝となっていて念のためロープを出す。
いよいよメルガ股沢に降り立ったわけだが、残念ながら雨足は衰えない。しかしながら増水している気配は全く無く、水も澄んでいる。滝などは全くないが退屈な河原歩きといった感じではなく、雨の中でものんびりと「沢歩き」を楽しめる渓相なのである。
こんな天気でもあるので、いい幕営地があったら早速今日の行動を打ち切ろうと先頭で一人歩いていると、前方になんと大きな黒い熊が沢の真ん中を上流に向かって悠々と歩いている!。びっくりして見なかった振りをして?引き返し、2番目に歩いていた徳山さんに手振りで止まるように指示、一旦全員集合してみんなで声を出しながら歩き出す。
熊と遭遇した地点から少し歩いた所でテント2張り張れる絶好の幕営適地を発見、今日はここまでとして幕営と焚火の準備。小タープを3つ繋ぎ合わせて張り、快適な焚火が出来る空間を確保する。完全にびしょ濡れな薪しかないが点火は慣れたものでわけなく完了する。徐々に薪を乾かしながら火を大きくしていくのはなかなか楽しいものである。火が落ち着きめいめい服を乾かしに入るとそろそろ完全に宴会に突入する雰囲気となる。
ふと前の沢に目を移すとなんと岩魚がつがいで泳いでいるのが見える。人を恐れる気配もなく産卵準備でもしているのだろうか。先ほどの熊といい、この岩魚といい、山奥の桃源郷を見た思いで頗るいい気分であるがやはり体調はすぐれない。明日はなんとか回復してもらいたいと願いながら、いつものように焚火の横でごろ寝となった。
10/12 目覚めると何とか風邪の悪化も進んでいないようで内心ほっとしながら焚火にビリーカンをかける。今日はいよいよ丸山岳を目指す。
準備を終え出発すると、昨日雨の中を歩いたのとはやはり印象が違い(荷物の重さも違うが・・・)、まさに散歩気分で気持ちよく歩いていく。傾斜もなく滝もなく、岩魚が走る沢床を眺めながら歩いていく。周りの景色との調和が何とも案配がいいのであろうか、とてもいい気分の沢歩きである。
三角沢を過ぎ、二俣を越えると小滝が現れるようになる。さらに進むと最初の滝らしい滝である5m滝となる。右の草付きにシュリンゲがかかっていたので登ってみると上の方は手がかりも足がかりもない感じで、痛む五十肩を気にしながらだましだまし登っていくがとうとう滑り出してしまい、ずるずる落っこちて振り出しに戻る。グランドフォール直前でロープが効き、ちょっとした擦り傷のみで事なきを得る。止めて下さった澤田石さん、ありがとうございました。
結局、水流左の凹角を浅原さんが登ってみると残置支点もあり問題なく登ることが出来るのがわかり、先ほど登った右の草付きから浅原さんにロープを投げ渡してフィックスしていただく。
この上は再び滝は無くなり、進むにつれて周りの紅葉が誠に見事な美しさとなってくる。奥の二俣は予想外に?両門の滝となっていて、進路は右だが、一旦左沢の4m滝を登り、中間尾根から右沢に戻る。その先、2m・3mの連瀑を越え、美しい20mのトイ状ナメ滝(?)は上部は念のためロープを出す。
途中、倒木にブナハリダケがあり、帰りに採取するため徳山さんがケルンを積んでおく。沢は傾斜を増し、燃えるような紅葉の中ひたすら高度を稼いでいくと最後はあっけなく沢形が無くなり藪に突入する。
最初は樹林帯でそれほど藪が濃くなかったが、途中から笹藪となり方向を見定めて藪をかき分けていくと程なく尾根上に到着。下降地点に紙テープでマーキングして尾根沿いにさらに藪をかいて進むとやがて藪が無くなり、丸山岳の山頂が目の前に現れる!。ちょうど藪から出るところが湿原状になっていて一部の方々は泥に足を取られていたが・・・。
丸山岳山頂は相変わらず素晴らしい草原が広がり、折しも一面の草紅葉で夏に訪れた時とはまた違った美しい光景が広がっている。まさに感激の再訪であった。まずは全員登頂を祝してビールで乾杯!。しばらくは各々自由に時間を過ごすこととするが、一部のメンバーは大幽沢の方の湿原に足を延ばす。こちらは池塘が点在していて、またいい雰囲気なのである。山頂での時間を充分満喫したのち下山にかかる。
まず尾根沿いに往路を戻り、赤テープの所から藪を下りると問題なく沢形へ戻ることが出来た。あとはただひたすら沢沿いに下るのみである。紅葉の中の下降は、なぜか登りの光景とはまたひと味違った感じとなり、同じ場所を下っているとは思えないくらいでなかなか楽しい。トイ状20mナメ滝は上部は懸垂で下降し(下部までロープが届かない・・・)、奥の二俣は登り同様中間尾根を木を掴みながら下り、4m滝は念のため補助ロープをフィックスする。
それにしても、10人もの人数で下降していると、ラストを歩いていると水流が完全に濁ってしまい流れの底が見えずなんだか歩きにくいものだ。途中、斎藤さんがミズを採取している。確かになぜか天場の近くにはミズがなかったような・・・。
私が落っこちた5m滝も懸垂で下り、二俣、三角沢を過ぎると天場はもうすぐである。さすがに少し疲れが出だす頃だが、この辺りは本当に歩きやすい沢で苦にならない。やがて焚火用に張られたタープが見えて本日の行動は終了。充実した1日に握手を交わしあった。
2日目の焚き火は実にいろいろな食材が登場し幸福に浸れる空間であったが、私は風邪をひいている身なので明日の事も考え早めに休む事とし、珍しくテントで一人先に就寝する。
10/13 とうとう下山の日である。朝食を済ませ、焚火に燻されて色が変わってしまったタープを撤収し下山にかかる。
昨日から板倉さんが足に不調を訴えていたので、袖沢乗越への支沢に入るところで荷物を全員で分担する。これだけ人数がいるとこういうときは心強い。出合の滝は念のためロープを固定するがあとはただひたすら登るのみ。袖沢乗越からは一昨日は全く見えなかった周りの山々も眺めることが出来た。
乗越からは往路の踏み跡を辿って沢に下り、あとはどんどん沢を下る。浅原さんと斎藤さんが競うように?ミズのこぶを採りながら下っていたが、私も途中から採りながら下る。そんなことをしているとあっという間に袖沢まで下りてきてしまった。
袖沢林道を歩き始めてすぐに、幸運な事にたまたま通りがかった車に足が不調な板倉さんを乗せていただくことが出来た。あとはのんびりと林道歩き。ここも行きの雨の中とは別の所のようで、遠い稜線の紅葉を眺めながら3日間の余韻に浸りつつ歩いていった。
下山後、初日に仮眠した大湯温泉のユピオで入浴し、昨年の10月3連休の時に寄った「じねん」が残念ながら休業中という事だったので、食事処を探して小出駅まで行き、駅前の食堂でへぎそばその他で打ち上げとなった。その後、偶然近所で「もち撒き」があるというので見物に行き、餅をいただいてから帰途についた。
5年ぶりの丸山岳再訪が無事成功し、大変印象に残る山行でした。メルガ股沢は沢登りとしての緊張感はありませんが、山深い所為か原初の自然が色濃く残っている穏やかな素敵な所でした。こういう困難とは全く無縁の、のんびりした沢歩きはまた格別なものですが、「いい沢」と「いい山」の組み合わせだからこそより一層しみじみと味わう事が出来るのでしょう。体調の悪い中の参加となりましたがあまり迷惑をかける事なく無事に下山出来て良かったと思います(下山後2日間寝込みましたが・・・)。これもメンバーの皆様のおかげです。ありがとうございました。
コースタイム
10/11 駐車場(8:10)―入渓点(9:35)―袖沢乗越(11:30)―メルガ股沢(12:00)―BC(12:45)
10/12 BC(7:30)―奥の二俣(9:00)―丸山岳(11:30)―BC(14:?)
10/13 BC(7:10)―袖沢乗越(8:30)―袖沢林道(10:00)―駐車場(11:30)
遡行図
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