北アルプス 爺ヶ岳〜鹿島槍ヶ岳 山スキー


2008年4月28日〜29日  メンバー:森田L、岩崎


 今年の大型連休前半は休みがつながっていないので、26日〜27日の土日を絡めて土日だけのメンバーと共同の計画を立てましたが、結局土日は天気が悪くて中止、休暇を取っている岩崎さんと28日〜29日でこのルートに行ってきました。

4/27 19:00JR府中本町駅集合。中央道〜長野道を経て豊科ICで高速を下り大町へ向かう。扇沢の爺ヶ岳登山口で車中にて小宴会の後仮眠。

4/28 扇沢右岸の林道沿いに歩き出す。すぐに雪が一端途切れるがすぐにまた繋がるようになりシールに切り替え快調に歩く。堰堤の手前で左岸に渡り堰堤を越えると沢は完全に雪で埋まり、広い沢底を歩くようになる。雪面は土や小石で相当汚い。しばらく歩くとデブリ跡もかなりでてくるがどんどん進み、種池山荘付近からの沢が合流する所で小休止。
 ここは前回来たときと同様に本流らしい左を行き、適当なところから左岸の尾根に取り付く。最初から板を脱いでつぼ足で登るが、特に苦労もなく丁度種池山荘の目の前に出る。大休止の後爺ヶ岳の登りにかかるが、先ほどまでの登りと違い風が強くすぐに寒くなってきて手先が凍えてしまう。2001年に登った時と比べると格段に雪が多い。程なく爺ヶ岳南峰に到着。
 山頂からは白川源頭のすばらしい斜面が広がっているが、こちらは下山時のお楽しみとして先に進む。棒小屋沢側にいい斜面を見つけて適当なところから滑ろうと思っていたが、どうせなら山頂からと爺ヶ岳中峰から板をはいて滑りだす。風が強いせいか雪面はかなり固い。斜度はあまりないが慎重にトラバースしながら小さな支尾根をいくつか越えていく。
 支尾根の反対側が見ず様子が分からないので、あまり高度を下げずにトラバースしていたが、1カ所雪庇状の急斜面に出てしまいほんの僅かだが登り返す。その先は雪も緩み、山周りのターンを繰り返しながら快適に滑っていく。冷池乗越からの沢筋に入ったところでせっかくなのでフォールラインに向かって思い切り滑る。どこまでも滑っていきたいが登り返さねばならないので適当なところで大休止。稜線とは違い風がないので暖かく、ビールをのびながら少々のんびりとする。あとはシールをつけて登り返し冷池山荘へ。受付を済ませると宿泊者にはなんとロング缶1本サービス!。とてもきれいな小屋で早速談話室でいただいたビールと持参した酒類で乾杯!!。夕食も美味しく快適な一夜を過ごす。

4/29 翌朝は天気はいいがやや風が残っている。鹿島槍の山頂からの滑降を考え、やや遅めに7:30頃出発する。最初から板を背負いアイゼンで歩く。しかし、歩き出してすぐに私のアイゼンが左右とも外れてしまい少々焦るが何とか応急処置をする。歩き始めるとなぜか立山と剣岳は雲の中となってしまった。昨夜の天気予報からは全く予想しなかった展開だが、幸運な事にその雲は黒部川を隔てたこちらには届かず、鹿島槍周辺は何とか晴れたままなのが救いだが相変わらず風は少々強い。順調に高度を稼ぎ、9時頃には鹿島槍ヶ岳南峰に到着。すでに普通に登っている方々は早立ちし登頂して下山しているらしく、誰もいない山頂はすこぶる気分がいい。しばらく休憩していると立山・剣方面の雲がだんだん薄くなってきている。雪面はまだ固そうに思えたが、風も弱まってきたのでそろそろ滑降する事とする。
 コヤウラ沢源頭は実に広々とした1枚バーンですばらしい斜面である。傾斜は思ったより緩く、まさにスキー向けの斜面といえる。いよいよ山頂から滑り出すが、1ターンして雪面が充分エッジが効くことがわかると一安心して大斜面に思い切りシュプールを描く。斜面もすばらしいが何よりも山頂から滑るという行為は何とも気分がいいものである。しかも眼前には立山・剣の大展望が広がっている。
 適当なところから左へのトラバースに移るが、むしろこちらの方がまだ雪面が固く慎重になる。そのままトラバースを続け、布引山からの尾根を越えるところで小休止。振り返ると滑ってきた斜面が見渡せ再びいい気分になる。ここからは雪も緩み、若干ハイマツの上を歩くところも交えてトラバースを続けると登り返しなしに丁度いいところで尾根に戻ることができた。ここからは尾根通しに冷池山荘まで滑る。全くスキーの機動力に驚かされるほどあっという間に戻ってきてしまった。
 冷池山荘でデポ荷を回収し、再びつぼ足で爺ヶ岳の登りにかかる。赤岩尾根の分岐をすぎ、西沢上部をのぞき込んでみたが、稜線からは雪庇があり、滑るのならば少し尾根を下ってからの方が無難なようであった。途中、我々が昨日滑ったトレースが残っていてそれらを眺めながらの登りとなる。丁度昼頃に爺ヶ岳南峰に到着、ここから白沢に向けて最後の滑降となる。
 まず白沢源頭の斜面を滑り、右へトラバースして南尾根を乗越すところで最後の小休止。ここの斜面は雪も緩んでいるので全く快適な滑降であった。扇沢に入ってからもすばらしい斜面が続く。下るに連れて雪が腐り気味になるが、まだまだ快適な滑降が続く。
 沢が狭まり滝と思われる所は右の小尾根を乗越して下りているトレースもあったが、右側の沢はデブリがひどく、我々はそのまま左側にトラバースし続ける。急な斜面を雪をつないで下り、最後は細い急なルンゼ状をずるずると下り沢底へ戻る。ここはちょっとエクストリームな気分??。
 あとは広い扇沢をとばして下るのみ。時折デブリ跡に水を差されるが気にせず山行の余韻に浸りながらどんどん飛ばす。最後はあまりに雪面に土や石の堆積物が多いので板を脱ぎ歩く。堰堤を越えると昨日よりも明らかに雪が減っているのを実感する。振り返ると先ほど滑ってきた稜線はもう遥か頭上であった。
 下山後、大町温泉郷の少し手前にある「上原の湯」で入浴し、近くの蕎麦屋でもりそばを賞味するがこれが実に美味しい!。全てにおいて大満足のなか帰途につく。


 今回のルートは完全な往復のコースであるにも関わらず同じ経路を殆ど通らず、スキーの機動性を最大限に発揮出来て山頂からの滑降も楽しめるというなかなかの好ルートでした。効率のいいスキー登山と滑降の楽しさが絶妙なバランスで凝縮されていたと思います。純粋な滑降派には物足りない面もあるかもしれませんが、山をスキーで移動する楽しさを存分に味わいました。また、冷池山荘がとても奇麗で快適な小屋だったので少々驚きました。普段営業小屋にはあまり泊まった事は無いのですが、この時期の小屋は山スキーにとっては本当に有り難いものですね。


コースタイム
4/28 扇沢(6:30)―種池山荘(10:00)―爺ヶ岳南峰(11:25)―爺ヶ岳中峰(12:00)―冷池山荘(14:30)
4/29 冷池山荘(7:30)―鹿島槍ヶ岳(9:05)―冷池山荘(10:15)―爺ヶ岳(11:55)―扇沢(13:30)

地形図
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