蔵王連峰 名乗沢小屋の沢〜ガッカラ沢(下降)


2006年8月5日〜6日  メンバー:森田CL,田中SL,石島,斎藤,寺西(陽)


 今シーズンは梅雨の悪天に阻まれてまだ1度も泊まりの沢に行っていないので、最初の泊まりの沢に今まで計画しては流れていた蔵王の小屋の沢に行ってきました。お盆休みに長期山行に出られない私にとっては、今年の夏の「ミニ合宿」ということになりました。

8/4 JR秋葉原駅に22:00集合。偶然集合場所が同じになった舘野パーティーのメンバーと会う。羽生PAで石島車と合流する。順調に東北道を北上し、山形道に入り宮城川崎ICで下りて小屋の沢林道に入る。途中、八方平への登山口の少し先で倒木があったが強引に先に進み、駐車余地のある実質上の林道終点まで車で入る。テントを張って小宴会の後仮眠する頃には辺りは白みはじめていた・・・。

8/5 まだ寝ているうちに他パーティーが車で上がってきて先に出発していった。我々もゆっくり準備をして7:50出発。所々崩れて車は通行不能となった林道を20分程で入渓点の魚止橋に到着する。橋から見ると最初からゴルジュの渓相で先が楽しみである。
 最初の3m滝は右から、次の3m滝は左から巻いて難なく越えると、次のトロはちょっと微妙なへつりで左岸をへつり、降り口にロープがフィックスしてある。さらに釜を持つ5mトイ状滝となるが、田中さんは迷わず釜を泳いで取り付き、一旦押し戻されたもののつるつるの右岸に上がり見事突破。他は迷うことなく右から巻くが念のため補助ロープを出す。ここで最初のゴルジュは一段落する。
 しばらく進むみ、大きな釜をもった2m滝は大きな倒木が落ち口から釜の縁にかかっていて、それを伝って上に抜けたのだが、ちょっとスリルがあり、しかもなかなか笑える所である。その上でこの沢では珍しい?短いゴーロとなるが、ここで斎藤さんが滑って顎を打った様だが幸いちょっと出血しただけで大事には至らなかった。その先左から大釜沢が15mほどの滝で合わさると再び沢は狭まり、釜のある小滝を2つ左からへつり倒木のある4m滝は左から直登する。
 いくつか滝を越え、倒木のかかる水量豊富な4m滝は田中さんのみ水流左を登り、あとのメンバーは左から簡単に巻いてしまう。続く10m滝は直登不能で右から巻くが、草付きのトラバースがちょっと危ない。下降は念のためロープをセットして一部メンバーは懸垂下降となる。その上で小休止後、さらに進むと立派な20m滝が現れる。これも直登出来ず右の小さな支沢を登り巻くが、ここは踏み跡があった。
 この先、右から1350mピークからの支流を合わせる。左に入り少し進んだ所の5mトイ状斜瀑は傾斜の緩い左壁のクラック沿いに登る。その先さらに両岸狭まりトイ状の滝を突っ張りで突破するが、ここはロープも不要で実に楽しめるところである。全員並んで突っ張りで登っているのを後で見ていると、上の人が滑って落ちたらどうなるのだろうかといらぬ想像をして思わず苦笑してしまう。続く連瀑はなかなか美しく、最初の2条5mは左の水流添いに登り、続く10mは左から巻き、次の8mは田中さんリードで右を直登。ここは念のため後続にはロープを使用し、田中さんが1人で2人同時確保という沢ではあまりやらない?技巧を駆使する。
 ナメ小滝を幾つか越え、根こそぎ倒れた倒木が滝の途中にある6m滝を左から直登し、綺麗な3mナメ滝を越えると左壁から滝となって細流が2本合流している。寺西さんが余程暑いのか細流に打たれている。沢は大きく西に方向を変えて、左から奥に10m程の滝が見える支沢が流入する。そろそろビバーク適地を捜しながら歩いていたのだが、なかなか良いところが無く休憩がてら荷物を置いて探し回る事にする。結局、少し先にある絶好の場所は先行パーティーが既に張っている事が田中さんの偵察により分かり、少し戻って左壁から細流が落ちていた所の対岸まで戻ることとなった。
 いざ下降して幕営準備をすると乾燥した薪が実に豊富にありとてもいい場所であることが分かった。焚き火を囲んで何とも気分の良い晩となったが、なぜか童謡・文部省唱歌系の歌が多い不思議な晩でもあった。私はあまりの気分の良さにいつものように焚き火の横でごろ寝となった。

8/6 私は夜中に薪をくべることなく快適に寝ることが出来たが、テントでシュラフカバーのみで寝ている方々は寒かったようである。茹ですぎの所為か汁が無くなってしまったそうめんを詰め込んで7:35出発。
 昨日引き返した地点からナメ滝を幾つか越えると昨夜先行パーティーが幕営していた地点があった。緩い10mトイ状滝を越え、次の5m滝は田中さんは水流右直登、他は右から巻くが、落ち口がやや悪く、残置シュリンゲがあったが念のため落ち口側にハーケンを打ち足す。続く10m斜瀑はその上の滝と共に左から巻き、いよいよ30m大滝となる(斎藤さんなぜか再び出血・・・)。通常下段を登ったところで右の支沢に逃げるようだが、今回はホールドの乏しいバンドを右上して田中さんがロープを伸ばす。この滝は日があたって明るく、とても気持ちよく登ることが出来た。
 大滝上も小滝が続き、1200m付近の二俣は右に行く記録が多いが今回はあえて左に入る。入ってすぐの6m滝は上部がチムニー状でちょっと登れそうにないと思って右から巻いたのだが、田中さんは単身無確保で登ってきて全く驚いた(本人も驚いていた?)。小滝はまだまだ続き、しかも突っ張りで登ったり巻きにロープを出したりと変化があって何とも面白いのだが、寺西さんはそろそろお疲れの御様子だ。地図と磁石で確認しながら最も楽に稜線に出られる所を模索しながら進んだが、最後は地形図では読みとれない小さな起伏でよく分からずに磁石頼りに20分ほど藪を漕ぐと突如として樹林の中の登山道に飛び出す(ちょっと「稜線」というイメージではない・・・)。
 早速荷物をデポして名号峰へ向かう。20分ほどの登りで展望抜群の砂礫の山頂へ到着、ビールで乾杯となる。天気はすこぶる良いのだが山の稜線上は雲が多く、山座同定はちょっと出来なかったが、オコジョが出てきて歓迎してくれた。のんびりしていたいがまだ沢の下降が待っている。デポ地点まで戻り登山道をどんどん下る。この辺は樺の木が多い。
 当初の予定では1100m付近からガッカラ沢支流を下る予定であったが、間違えてその少し手前の1130m付近から降りてしまったようで、すぐにガッカラ沢の本流に出てしまう。まあ大差ないだろうと思ったが実際には大きな滝が多く、巻き下っても沢床へ降りられず3回ほど懸垂下降を強いられちょっと時間がかかってしまった。下降予定の支流が合流するとあとは特に問題なく、3段15m滝は最後でロープを出したが巻き下ることもできた。750m付近で支流が合流する辺りから竿を出してみたが全くあたりはなかった。 踏み跡や残置のロープがあるところから、釣師の入渓が多いのではないかと思われる。
 護岸工事されている所に出るともうゴールは近い。やがて小屋の沢が合流し、昨日入渓した魚止橋が頭上に見える。あとは林道を15分ほど歩き駐車地点に戻る。2日間の余韻に浸るには丁度良い距離であったが、時刻は既に午後4時を回っていた。

 ようやく小屋の沢に行く機会に恵まれましたが、全般的に悪いところはなく期待に違わずとても楽しめる沢でした。単調なゴーロが少なく最後まで滝が連続して飽きさせないかわりに、幕営適地が少なかったのがこれまたちょっと意外でした。むしろ大滝を越えてしまった後の方が良い幕営地があるような気もしました。今回もメンバーに恵まれ、とてもメリハリの利いた?充実した山行でした。


コースタイム
8/5 林道駐車地点(7:50)―魚止橋(8:10)―2500m支流合流点(13:20)―幕営地(14:20)
8/6 幕営地(7:35)―大滝上(9:20)―稜線(11:50)―名号峰(12:10〜12:40)
   ―ガッカラ沢下降地点(13:40)―魚止橋(16:09)―林道駐車地点(16:20)


遡行図
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