銀座山の会 沢登り50ルート  No.7
栗駒山 一ノ迫川・麝香熊沢

2010年7月17日〜18日  メンバー:森田L、斎藤、澤田石

7/16 澤田石さん宅に寄ってから新宿駅西口で斎藤さんを乗せ、中央環状線は中野長者橋付近が少々渋滞していたので高松ICから入り東北道へ。順調に北上し仙台を越えたところで鶴巣SAにて小宴会後仮眠とする。

7/17 起床後早々に撤収して移動開始。一ノ関ICで東北道を下りて須川温泉方面に向かう。途中、5月に復旧したばかりの真湯から須川温泉の間では随所に地震復興の跡が残されていて痛々しい。須川温泉で最後の買い出しをして湯浜温泉へ。丁度湯浜温泉の入り口でゲートがありその先はまだ災害復旧の為通行止めになっていた。広い駐車場で遡行準備をして湯浜温泉への道を下りていく。すぐに道は麝香熊沢を渡りそこから入渓する。
 川幅の広い明るいゴーロが続く。特に問題になるようなところはなく右に左に徒渉しながら進んでいくと1時間ほどで赤沢の出合となる。さらにしばらくはゴーロが続くがやがて最初のゴルジュとなる。大きな釜を右からへつって(澤田石さんは左から)その先は右から巻くのだが、そこでスリップした拍子に手に持っていたデジタルカメラがコロコロと釜に転がり落ちてしまった。万事休すだが底にカメラが見えるので、澤田石さんが首まで入って足で挟んで拾ってくださった。(まあ水没したカメラはもう使用不能ですが、アクセサリー類は使えるので拾っていただき本当に助かりました)。
 ゴルジュを越えるとまたゴーロとなり、私はしばらくの間釣りながら歩かせていただく事にする。時間も時間だけになかなかあたりはなく、ようやく小さいものを1匹釣ったところでおしまいとする。
さらに進みようやくナメやナメ滝が出てきたと思うと、左俣・右俣がナメで合わさる「Y字ナメ」の二俣となる。この辺りで幕営地を探すがなかなかよい所がなく、二俣の少し上に増水にも安全な場所を見つけてそこにテントを張り、河原に焚火用のタープをセットして準備完了。私は少し上流に釣りに出かけるが、もう既に傾斜が強くなり滝場となっていく感じなので早々にあきらめる。
焚火をつけて夕食準備をしながら飲み始めると夕立のように雨が降ってきた。徐々に雨脚は強まりかなりの豪雨となったが焚火の上にはタープがしっかり張ってあるので全く問題なく飲み食いしながら夕食の支度を進める。こんなに雨が降っているのに焚火を囲んでくつろいでいられるなんて本当にタープのおかげであるなどと話していたが、さすがに増水には全く効果がなく徐々に水位は上がってくる。いつの間にか焚火は中州となってしまい水位はさらに上昇する勢い。あまりのんきな事も言ってられなくなったので夕食の調理が済んだ段階で一度テントに退避する事になった。結局土砂降りは3時間ほど続き、沢は大変な濁流で目の前の壁は滝となっていたが、雨がやみ、澤田石さんが焚火がかろうじて流されずに残っている事を発見すると物好きにもまた焚火に戻り宴会を継続する。すぐ脇には濁流が轟々と流れているが空は満天の星。何とも不思議な雰囲気で夜は更けていったのである。私はそのまま濁流の傍らで就寝・・・

7/18 昨夜の濁流が嘘のように水は引いていたがそれでも平水よりはやや多いようである。昨夜から消さずに残していた焚火で朝食を作り昨夜の豪雨から我々を守ってくれた天場を撤収し出発。
 歩き出してすぐに6m滝を左から越え、続く7mナメ滝はなかなか素晴らしく、水流右を登るが水量があり迫力がある。石の小滝を越えて進むと沢が右に屈曲し大きな浅い釜を持つ5×15mの傾斜の緩い美しいナメ滝が現れる。水流左を登りナメの続く中をさらに進むと再び沢が屈曲するあたりで幅が広いインゼル状のナメとなる。ナメのインゼルというのもなかなか珍しい気がするが、この辺りはとにかく素晴らしいの一言につきる。その先もナメ・ナメ滝は予想以上に続き、5mナメ滝を左から越え、3m・4m・2mの3段ナメ滝、幅広4mナメ滝とどんどん越えて行く。さらさらと流れる水流が逆光にきらめく様は大変美しく、遡行していて本当に幸せな気分にしてくれる。
 どんどんナメの中を歩いて行くと玉子石とでも言いたい丸い岩が沢の真ん中に現れる。地震の影響で転がってきたのか?。次第にあたりは源頭の雰囲気になり開けた感じで明るく、ナメも時折現れて気持ちよく歩いて行く。
 最後の沢床の低い右俣と滝となって落ちる中俣・左俣の三俣状?は、滝になった左俣を左から巻いて上がると湿地のような草原となり、後を振り返ると虎毛山塊の展望が広がっていて、さっさと行くのがもったいないので草原の中で小休止。
 このまま登山道に出たら最高なのだがと思ったがさすがにそれは贅沢すぎる要求だったようで、沢形がなくなったところから藪に突入する。背丈よりも高い笹藪で展望はなく、所々密になるが薄い所を狙って行くとそれ程大変ではない。しかし油断しているとどんどん方向が東にそれてしまうので笹に逆らって北へ修正しながら約30分程で登山道に飛び出す。「出た!」と思わず大声で叫んでしまったが、すぐ下に単独行の男性がいて「どこから来たんですか?」と驚いていた。
 登山道を右に行き栗駒山を目指す。多くの人々が休憩してくつろいでいる須川温泉と湯浜温泉の分岐である須川分岐に荷物をデポして栗駒山を往復する。山頂はものすごい人だったが展望は素晴らしくしばし寛ぐ。
 須川分岐まで戻り湯浜温泉への道に入ると途端に全く人がいなくなり静かな下山となったが、道が刈払いの笹などで覆われて溝や起伏がわからなかったりで少々歩きづらい。虚空蔵十字路を過ぎると木道となってあたりは湿原性の草原となる。少し進むと雪渓があり小休止。雪渓を渡ってくる風が冷たくて気持ちがいい。後はただひたすら下って行くとやがて平らなブナ林を歩くようになり沢を渡って上り返すと湯浜温泉へ出る。まだ地震の余波か休業中であった。さらに沢沿いに歩くと上滝を経て入渓点へ。あとはひと登りで駐車場へ到着。さすがに結構長く感じやや疲れが出た。
 下山後、須川温泉「栗駒山荘」にて入浴、一ノ関ICから東北道に乗り往路で仮眠した鶴巣SAで夕食をとって帰途についた。渋滞はまったくなかったが下山が遅かったので、さすがに帰宅は0時を回ってしまった。

コースタイム
7/16 駐車場(9:00)〜ゴルジュ上(11:05)〜幕営地(13:00)
7/17 幕営地(8:00)〜登山道(11:25)〜栗駒山(12:50)〜駐車場(?)

遡行図
写真


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