北アルプス 鹿島槍ヶ岳周辺山スキー

2011年4月29日〜30日  メンバー:森田L,斎藤,佐治(与),徳山

 

 今年の5月連休前半は、昨年に引き続き鹿島槍ヶ岳周辺を滑ろうと計画しましたが、結果は・・・。

4/28 22:00JR三鷹駅北口に集合。冷池山荘付近はここ数日で新しい積雪が多いらしく、不安定な状態だと雪崩の危険が大きいので場所を変更するべきか?との意見も出たが、まあとりあえず現地まで行って考えようかという事になり中央道を走り岡谷JCTから長野道に入って梓川SAにて仮眠。

4/29 朝目覚めて早速移動再開。晴天ならば北アルプスが白馬まで見渡せる素晴らしい景色のはずなのだが今日は全く何も見えない中、豊科ICで長野道を下りて大町に向かう。大谷原に到着すると数パーティーが出発準備をしていた。話を聞くと東尾根、黒部横断、コヤウラ沢山スキーと様々。話しているうちに入山者もそこそこ多いのでここ数日の積雪も何とかなるだろうと気が大きくなって来て(?)危険が多い場合は赤岩尾根を登ることも考えていたがひょっとして西沢も登れるのでは?と我々も早速準備をして出発する。
 林道を少し歩くと雪がつながるようになりシールに切り替え、1時間程で西股出合に到着。すごいデブリが押し出されていてそれを乗り越えて西沢に取り付く。すぐ後ろの黒部横断パーティーも赤岩尾根をやめて西沢を登ってくる。やはりどう考えてもこっちの方が楽なのであろう。
 稜線は残念ながら雲の中であるが、かなり上のほうに先行パーティーがちらほら見える。順調にシールで登って行くが、上部半分はデブリで埋め尽くされているといった感じで、下りはどうなるのか少々心配だ・・・。
 他のパーティーの方々はデブリ帯に入った辺りから皆つぼ足に切替えて登っていたが、我々はシールのままデブリの中を右往左往して登っていった。上部に行くに従い新雪の量が増え、つぼ足では足が潜って大変な様で、結局どんどん他パーティーを抜いて赤岩尾根には私が一番最初に到着する事となった。
 小雪がちらつく中、小休止後赤岩尾根をアイゼンをつけて歩き出すが、昨日の積雪もあり当然ながら冷乗越へのトラバースのトレースはなく赤岩ノ頭まで登る事となる。最後の壁は結構急傾斜だ。ようやく主稜線に出るが横殴りの雪で早々に冷池山荘まで先を急ぐ。全く天候は回復する兆しはなく天気予報は本当に当てにならない・・・。
 14:45ようやく山荘に到着。早速宿泊の手続きをするが、嬉しい事にまたビールの ロング缶1本サービスがあった!!。早速荷物を部屋に置いて談話室でいただいたビールで乾杯!。談話室はまだ室内に大きな水のタンクのようなものがあり狭かったが、外の様子を眺めながらしばし宴会となる。夕食も美味しくいただき、明日の晴天を期待して就寝。

4/30 早朝目が覚めると何とか晴れているようである。5:00からの朝食をとり、天気予報を見入るが何だかいいのだか悪いのだか良くわからないが午前中くらいは何とかなりそうである。明日はやはり雨なのでこの時点で本日下山は確定である。よって本日の行動は牛首尾根まで足を伸ばすのは残念ながら諦める事になりそうだ。
 とりあえず不要な荷物を小屋にデポして7:15出発。歩き始めた時はまだ立山・剣も朝日が当たっていて鹿島槍も見えていたのだが、見る見るうちに雲が増えていく。東尾根に登山者が見える。少し歩くと早くも下山してくる方々とすれ違うが、殆どすごい強風で途中で敗退してきている方ばかりのようだ。どうやらここはまだ布引山西尾根にさえぎられて風をあまり感じないようなのである。
 進むにつれて立山・剣の山頂は雲の中となり、鹿島槍もなんだか怪しくなってきた。こうなってくるともう山頂に行っても仕方がないので布引山手前で西尾根までトラバースして、布引山から南西に落ちる沢を滑って帰る事とする。西尾根に着く頃には天気は急変し、なんとバチバチと音を立てて霰が降ってきた。尾根から鹿島槍方面を覗くと牛首尾根に登山者が見える。本当だったらあそこを滑っていた筈であるが・・・。
 こうなっては長居は無用と早速滑降に移る。まずは源頭の広い斜面を快適に滑り、適当な所からひたすらトラバース。所々潅木やハイマツの隙間を縫ってトラバースを続け登りのトレースに合流。あとはトレースに沿って冷池山荘に戻る。
 山荘でデポ荷を回収しパッキングしなおし、念のため赤岩尾根の壁の下降用に全員の細引きを結び合わせて補助ロープとする。稜線上はやや風が強かったが、赤岩ノ頭から赤岩尾根に入ると全く風がなくなってホッとする。さて問題の壁の下降だが、雪質は緩んでいるし既にスキーのトレースがあるので我々もスキーで下る事とする。最大傾斜の部分を左にトラバースするとあとは問題なく滑って下りられる。このトラバースで斎藤さんがまさかの転倒。しかし雪が緩んでいたのですぐに止まり大事には至らず一安心・・・。そこからは尾根の北側を巻く様に滑って西沢の滑降地点へ。
 西沢は最初は雪質がやや重めながら気合で滑っていける状況だったが、途中からデブリがひどくそのまま下ってもあきらかに大変であるし全く面白くない。上から観察した所では沢の中央になぜかデブリのないラインが一筋残っているように見えたので、ひたすらそこまで忍の一字でデブリの中をトラバース。ようやくその一筋のラインにたどり着くと実に見事!本当にきれいな斜面が一筋残されている。今までがうそのように快適な滑降が続く。このラインが終わるともう一度僅かにデブリを左にトラバースするとデブリ帯を抜けて、あとはザラメ雪の快適な滑降があるのみである。結局赤岩尾根最上部の痩せ尾根以外は壁から下は全て滑って下りてきたことになる。
 西股出合まで来ると突然上空に雷が轟く。最初は戦闘機でも通ったのかと思うような音で雹も降ってきた。休憩もそこそこに林道を下る。やがて雪が切れ雷雨の林道を大谷原まで歩き終了となる。


 今回は3回目の鹿島槍ヶ岳でもう一つの楽しみとして牛首尾根周辺の滑降を計画していたのですが、事前の予報に全く裏切られ悪天のため日程を1日短縮し敗退となってしまいました。まあ天気ばかりは仕方ないですが、その後のニュースで下山した日に南峰付近で落雷で死亡者が出たとの事。我々は無事でよかったと思いました。そんな山行でしたが赤岩尾根〜西沢の滑降は私にとっては結構な収穫でした。特にあんなデブリだらけの西沢の斜面を快適に滑って来られたのはよかったです。ビールのロング缶をいただける冷池山荘も快適でした。悪条件の中、臨機応変に対応いただいたメンバーの皆さん、ありがとうございました。

コースタイム
4/29 大谷原(9:20)〜赤岩尾根(12:00)〜赤岩ノ頭(13:00)〜冷池山荘(14:30)
4/30 冷池山荘(9:20)〜布引山西尾根(12:00)〜冷池山荘(13:00)〜西股出合 (13:00)〜大谷原(14:30)


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