北アルプス 鹿島槍ヶ岳〜北股本谷 山スキー

2010年5月2日〜3日  メンバー:森田

 

 今年の5月連休は直前で予定が変わり、急遽山に行く事が出来るようになったので、単身念願の?鹿島槍ヶ岳の北股本谷に行ってきました。

5/1 なんだかんだで遅くなり23:00頃自宅を出発。さすがに連休初日で車の量がそれなりに多く100km/h以下での走行が多く時間がややかかったが3時前には大谷原に到着、珍しくビールも飲まずにすぐに仮眠する。

5/2 朝から素晴らしい天気である。軽く朝食をとってから6:30板を背負って林道を歩き出す。1時間ほどで西股出合に到着。流れが顔を出していて川の冷たい水で喉を潤して西沢をシールで登り出す。西沢はデブリも少なく、傾斜もシールで登りやすい程度の広い斜面が続き滑っても快適であろう。上からつぼ足で下って来る2名パーティーとすれ違うが、確かに赤岩尾根を登下降するよりもこちらのほうが格段に楽そうだ。
 最後は右の方にルートをとって稜線の少し手前で赤岩尾根に上がるがそこも全く問題なくシールで登る事が出来る。赤岩尾根に上がってからは板を脱いでつぼ足で歩くが少々疲れが出ている。トラバースのトレースを追って稜線に出ると冷池山荘はすぐそこである。宿泊の手続きをしてまずはビールで一人乾杯してから少し散策がてら小屋の近辺を滑りに行く。
 布引山方面に少し登り板をはいて北向きにトラバースし、小さな尾根沿いに滑り出す。快適に少し下ったところで昼寝時間とする。何とも贅沢な?時間の使い方である。さらに左の快適そうな沢をトラバースして隣の尾根に移り、登り返して冷池山荘に戻りもう一度ビールで乾杯。自炊室でサラスパとカップスープで作るスープスパという実に簡易な夕食を食べて軽くスコッチを飲んだあと早々に就寝。

5/3 夜はぐっすり眠って朝はゆっくりと目覚める。ほとんどのパーティーが出てしまったか出る準備をしている最中自炊室で朝食を食べ、今日下山のみというパーティー以外はほとんど人がいなくなった小屋を出発する。スキーヤーは私以外はテレマークの2名パーティーのみであった。
 小屋の前からは鹿島槍が美しい。北股本谷は中間部は釜尾根の陰になって全く見えないのが残念だ。アイゼンをはき板を引きずって歩き出すが、布引山の登りで所々雪が切れていたので板を背負う。2年前に滑った小屋裏沢源頭の斜面を見ながら順調に登り、8:50 鹿島槍の山頂に立つ。素晴らしい展望。北峰との鞍部を覗き込むとシュプールのないまっさらな斜面が南に向かって落ちているのが見える。「あそこを滑るのか!」と期待が募る。
 9時を回ったのでそろそろ十分に雪も緩んでいるので鞍部への下降に入る。ピッケルとアイゼンで下るが、相当な急傾斜でかなりの部分をクライムダウンで下りなければならず、東尾根を登ってきた方々のトレースがしっかりついていたので問題なかったが、それがなければロープが欲しいと思うくらいだ。ここはある意味で今回の核心部かもしれない?。
 鞍部に着くと初めて北股本谷を覗き込むことができるのだが、何とも素晴らしい斜面が続いているではないか!。北峰には東尾根からの登山者、南峰には冷池からの登山者が見え、周りの展望と共にこれ以上ない抜群のシチュエーションである。
 いよいよ雪庇が一部切れているところから一気に飛び込んで滑降を開始。雪面が十分緩んでいるので全く不安は感じずジャンプターンでどんどん高度を落とす。すぐ下のインゼルを右に入ると傾斜が増し、古いデブリ跡も出てくるが快適な滑降が続く。傾斜は急なままで右岸は壁が続くので雪崩や落石があると全く逃げ場がなく、のんびりしていられないのはわかっているが、あまりの素晴らしい斜面につい立ち止まってシャッターを切る。北峰からの沢が合流するあたりでようやくひと呼吸。
 この先あたりからはデブリを避けながらの滑降となるが、出来るだけ安全そうな左岸側を滑る。デブリ帯はそう長くは続かず、そこを抜け出すと既に傾斜は緩み広大な快適斜面が広がっている。あとは余韻に浸りながら板を走らせるのみ。もったいないので途中小休止して滑ってきた斜面を振り返る。もう稜線からの核心部は見えないが、全く予想外に快適な滑降が出来た事を感謝したい気持で一杯になった。
 西股出合までは堰堤も問題なく通過して10:40到着。行きと同じように冷たい川の水を飲むが実に美味しい。その先も雪がつながっているうちはスキーで滑り、切れた所で板を背負って大谷原まで歩き終了となる。
 下山後、大町温泉郷の薬師の湯で入浴(冷池山荘でもらった割引券を使用)。安曇野の道の駅でざるそばを食べて帰路につく。安曇野近辺は対向車線は大渋滞。中央道も小仏トンネルは大渋滞で久しぶりに秋川村経由で帰宅(こちらも後半混んでいたが・・)。さすが連休中日である。


 今年の5月連休は想定外で念願の北股本谷を滑ってくる事が出来ました。滑降ルートとしては実に素晴らしく、周りの景観と共に最高の滑降を楽しめましたが、雪崩・落石に対して逃げ場がない状況が非常に長く続くので状況によっては大変危険であることをあらためて感じました。今回はとにかくデブリの少なさに助けられ極めて快適な滑降が出来ましたが、ここがデブリで埋まっていたとしたら相当な労力が必要だと思いました。好条件が揃い素晴らしい北股本谷を楽しめたのは本当に幸運だったと思います。


コースタイム
5/2 大谷原(6:30)〜西股出合(7:25)〜赤岩尾根(10:30)〜冷池山荘(11:20)
5/3 冷池山荘(7:00)〜鹿島槍ヶ岳(8:50)〜北股本谷(9:35)〜西股出合(10:40)〜大谷原(11:30)


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