南アルプス 早川・黒桂河内二ノ右俣〜保利沢(下降)


2004年7月17日〜19日  メンバー:舘野(L),新井,斉藤,徳山,長野,森田



 今回は焼石岳の尿前川本流を計画していたのですが、東北地方が悪天の為、急遽天気が良さそうなところに変更し、南アルプスの黒桂河内二ノ右俣を遡行して保利沢下降という計画になりました。

7/16 JR府中本町駅に長野さん、新井さんが23:00集合。国立府中ICで中央道に乗り、釈迦堂PAにて舘野車と合流する。甲府南ICで下り、国道140号から52号に抜け黒桂河内沿いの林道に至る。ところが、残念なことにゲートがしまっていて車は入ることが出来ない。ゲートの鍵がなかろうかと長野さんがゲート脇の箱に手を入れてところ、なんと中に蜂の巣があり指を2ヶ所ほど刺されてしまったらしい。蜂に襲われると困るので少し車で林道を戻り、テントを張って小宴会の後仮眠する。

7/17 舘野さんの車を下山予定の広河原に置いて来てから出発する。まずは一時間程の林道歩き。林道終点から30分程山道を歩くと取水口に到着。準備を整え入渓する。取水口のバックウォーターにヤマメが泳いでいたのが見えたので、入渓後早速竿を出してみるとすぐに良型のヤマメが釣れた。良く見ると朱斑があるのでアマゴだろうか?。なかなか幸先の良いスタートだと思ったが、この先上流に行くと魚影はなくなり、残念ながらこれが最後の魚となった。
 少し進むと釜を持った10m滝となり右から巻く。しばらく川原状を進むと釜が連続するようになる。これが三ッ釜か?などと言いながらどんどん進む。再び釜と滝が連続するようになるとこれが五ッ釜だろうか?ということになる。4m滝を左から巻くと、深い釜をもった3m滝となり、釜の左を徳山さんリードで泳いで越える。私は冷え対策の秘密兵器、ネオプレーンゴムのベストを着て泳いだが、正直そんなに暖かくは感じなかった。一番上に着てそのまま泳いだので、袖や腹からどんどん水が流れ込んでしまったからか?(本当は下に着るものかもしれない・・・)。次の釜は左右とも巻くことが出来、無事に連瀑帯を越える。
 核心部はあっさり終わったものだと思っていたのだが、さらに進むと右の大岩の下をくぐるように通過した滝を越えたところで再び両岸狭まり、さらに深みを増した連瀑帯が現れこれが本当の五ッ釜である事を知る。最初の4mは左から巻き、次の3mは再度徳山さんのリードで釜の右側を泳いで突破する。ここで私はベストの上に雨具を着て泳いだのだが、前よりは大分よい感じであったが滝を登り終えるとやはりすっかり冷え切っていて、続く4m滝も泳がなければ突破できないのだが気力が薄く一人巻こうと右側の壁を登り始める。しかし上部は少々悪く、おまけに巻き上がっても滝の上に果たして簡単に降りられるかわからなかったので、あきらめて戻って泳ぐことにする。
 体を動かしたので暖かくなった所為か今度は快適に泳ぎ切りホッとする(それれにしても年々冷えに対して極端に弱くなっていく気がするのだが・・・)。水面から一段上がって小リッジを登った後、下まで切れ落ちた側壁を一歩渡るところが少々いやらしい。後続へは頭上に張り出した木にロープを投げて中間支点として確保した。続く滝は左を巻けるが、水流右をボルダー気味に?登ることもできた。これで五ツ釜の連瀑も終わる。
 頭上を送電線と木材搬送用のワイヤーが交差する所で7m滝を左から巻き、きれいな4mナメ滝を越えると一ノ右俣が出合う。あとは天場を探すのみ。幾つか候補地はあったが、先行した偵察隊が程なく堰堤のような4m滝右岸の高台に安全な場所を見つけそこに決定し本日の行動を終える。夜は焚き火の脇でごろ寝と思っていたのだが、20時頃雨がぽつりと落ちだしたので仕方なくツェルトに潜り込む。

7/18 夜中から雨が激しくなり、朝まで降り続いている。今日は一体どうなる事やらと思ったが天気予報は回復するとのことで、出発する頃には殆どやんでいた。歩き始めて10分程で大きなインゼルをを過ぎると二ノ右俣が出合い、そちらに入りしばらく進むと滝場が連続するようになる。
 中程に左上するバンドが走る6m滝は、右からそのバンドを使って瀑心の裏をくぐるようにして渡り左壁を直上するのだが、早速舘野さんがびしょ濡れになってリードする。一瞬水流に姿が消える光景は見ていると笑えるところなのだが実際は・・・。小柄な斉藤さんはザックにかかる水圧に負けてか?スリップして落ちてしまう。確保していたので問題なかったが、なんともお気の毒なことにザックの雨蓋が閉まってなかったそうで眼鏡などを釜の中に落としてしまった様だ。
 続く20m滝は大変立派な滝で、最初はすっかり大滝と間違えてしまった。右から巻いたが、巻きの途中これまた何ともお気の毒なことに蜂の巣があったらしく、新井さんと斉藤さんが耳を刺されてしまった(今回の山行は妙に蜂と縁がある・・・)。巻き終わったところが本物の30m大滝で、丁度鹿が2頭左のガレを駆け上がっていったのを見ることが出来た。簾状に水を落とす様は実に立派で美しい。小休止の後、鹿に倣って左のガレから巻く。沢に戻るところは舘野さんは早々に懸垂で降りてしまったが、あとのメンバーは歩いて下りる事が出来た。
 大滝の上は、3段10mナメ滝を左の草付きから越えしばらく進むと一旦伏流となるが、再び水流が戻ると滝が連続するようになる。右に2:1の支流を分けた所の連瀑は5m滝を上の滝と一緒に左から巻く。さらに少し進んだところの7m滝は新井さんが左壁から取付き上部は巻いて登るが、私は水流右にロープを伸ばしそのまま直上する。続く4mを左から巻き、次の6mは私は水流右の滑りそうなナメ状を登りそのまま上に抜けるが、他のメンバーは右側の草付きを巻き気味に登る。さらに進むと両岸が狭まり、樋状の連瀑となり結構楽しめる。私は濡れたくないので途中から左の側壁を攀じ登り巻いたのだがこれはあまりよくなかったなかった。
 この上は小滝が連続しぐんぐん高度を上げていく。登るにつれて次第に小滝・石滝・ガレといろいろな表現が出来る沢筋をどんどん登っていく。最後はガレの三俣状の真ん中を登って行くが落石が危険なので早々に左に逃げ苔むした樹林の急斜面を登る。
 ようやく稜線に出たが、稜線上は樹林で展望はなく、南アルプス南部の山々が全く見ることが出来ないのは誠に残念である。時間も時間なので今日の行動は打ち切り、平らなところを見つけてテントを張る。稜線上ではあるが枯れた木を集めて焚き火をして濡れた服などを乾かすことが出来た。水が少ないので夕食は朝食用のサラダスパゲッティ-としたが、アルコールはまだ充分あったので特に問題なかった。

7/19 各自行動食の朝食をとって早々に出発。ほんの数分程で保利沢山に到着。さらに数分で下降地点である。すぐに沢形がはっきりするがなかなか水が現れない。ガレた沢を30分以上下っていくとようやく水が現れ、ここからは適度に滝が出てきてなかなか良い感じとなる。
 右岸からナメ滝で支沢を合わせるところは出合下もかなり落差がある滝が続いている様子で、左岸を大きく巻く事になるが沢に戻るところは落石注意だ。続く2段15mは水流右を、2段5mは上段は水流右を、下段は左から巻降りる。
 左岸から支沢を合わせさらに下るとこの沢の核心ともいえる連瀑とゴルジュとなる。最初の5mは右をクライムダウンも可能だが念のため懸垂で下る。次の8mは私と新井さんは上部は水流左を、途中水流を右に渡って右岸のバンド沿いに下ったが他のメンバーは右岸から懸垂で降りた。次の8mは落ち口の流木にシュリンゲをセットして懸垂。この辺りはなかなか美しく楽しいところだ。続くゴルジュは最初の滝を左岸をへつり気味に下り、流木が詰まった中を抜け、出口は飛び込んだりツッパリで濡れずに下りたり各自好きなように?下る。ここもまた充分に楽しめるところである。
 この下は特に問題になるところはないのだが、4mナメ滝で巻き道が崩れて斎藤さんが落ちたり、2m程の滝で倒木伝いに下りていた長野さんがバランスを崩して岩に頭を激突させたり、やはり最後まで気を抜かずに下る事は重要だと再認識?させてくれた。取水口からは登山道まで道が続いていてそれを使う。転付峠からの登山道と合流してからは、広河内川の迫力ある渓谷を眺めながらの下山となった。


 今回の黒桂河内二ノ右俣は転戦ではありましたが、大変充実した3日間となりました。全体的に小規模ではありますが釜と滝が多く適度な難易度で越えられ、大滝などの見所もありなかなかの好渓だと思います。また下降に使った保利沢も思っていた以上に見せ場があり楽しめました。これでずっと上まで魚影があればと思うのですが・・・。


コースタイム
7/17 林道入口(8:30)―取水口(10:00)―一ノ右俣(14:45)―幕営地点(15:30)
7/18 幕営地点(7:40)―二ノ右俣(7:51)―大滝(9:20)―稜線(14:35)
7/19 稜線(6:08)―保利沢山(6:11)―下降点(6:18)―取水口(10:28)―広河原(13:45)


遡行図
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