森吉山 ノロ川・桃洞沢〜赤水沢
       --和賀山塊・堀内沢より転戦--


2004年8月14日  メンバー:飯田、佐治、沢田石、森田


 今年の銀座山の会夏合宿は和賀山塊の堀内沢辰巳沢〜無名沢下降〜マンダノ沢〜上天狗沢〜朝日沢下降という継続を予定していましたが、悪天の予報で敗退し、森吉のノロ川源流に転戦ということになりました。


8/11 22:30頃沢田石さんに自宅に迎えに来ていただき、佐治さん宅、祐天寺駅で飯田さんを拾い首都高目黒ICから5号線-中央環状線経由で東北道へ。車中でカメラの入ったウエストバックを自宅に忘れてきた事に気付いたが後のまつり(よって今回の山行は写真が無い!)。渋滞というほどではなかったが、交通量が多くて流れが遅く夏瀬温泉には翌朝7:30頃到着。

8/12 一睡もせずそのまま歩き出す。抱き返り渓谷を吊り橋で渡り、堀内沢へ続く道を歩いていく。堀内沢を渡って林道をしばらく歩くと取水口に到着する。ここからは踏み跡を探しながら歩くが、そう長くは続かなかった。特に困難なところもなく一時間程で朝日沢出合へ。明日以降の天気があまり期待できない感じだったので、撤退する時の事も考え、また昨夜は寝ていないので早めにテントを張りたかったので朝日沢を過ぎると幕営適地を探しながら歩く。結局三角錐岩塔のすぐ手前に適地を見つけ今日の行動は終わり。夜には雨が降りそうだったので早々に焚火を始め夕食?とする(まだ昼なのに・・・)。乾いた薪が豊富にあったので、暗くなるまで延々6時間ほど焚火をしていた事になる。夜半頃にはかなりの雨が降っていた様であった。

8/13 朝には雨はおさまっていた。天気予報を聞こうとラジオをつけるとアテネオリンピックの開会式を中継していてなかなか天気予報が始まらない。6:30ころようやく予報が聞けたが東北北部にある停滞前線が徐々に南下するといった感じで良くなる見込みは無いと判断。下山する事に決める。朝食後若干増水した感じはあるが時折少し雨に降られる程度で問題なく下山した。下山後、休業中の夏瀬温泉の裏手を見に行くと外の湯船になんとお湯がはってあるではないか!ラッキーとばかり早速入浴して汗を流す。
 車で移動し電話で昼の天気予報を聞くと前線の南下で明日は秋田地方の天気が好転する予報となっていたので森吉か早池峰にでも転戦しようかという話になったが、偶然にも沢田石さんの車に先週行った森吉近辺の地形図がそのまま積んであり、渡りに船とばかり森吉に決定する。
 奥森吉に移動し新築された野生鳥獣センターの駐車場脇にテントを張るが、丁度今頃銀座山の会の舘野さんが家族でこの辺にキャンプに来ているという話があったので、オートキャンプ場を見に行くとやはり居られ、全く予期せぬ劇的な合流となった。

8/14 早朝は雲が多めであったが徐々に青空が広がり出す。オートキャンプ場から移動してきた舘野車のパンクなどのアクシデントはあったが、9:50野生鳥獣センター駐車場を我々4名パーティーと舘野家4名一緒に出発する。ブナ林の中の気持ちの良い道を一時間程で桃洞沢出合の分岐となり、桃洞沢沿いに少し歩くといよいよ沢に下りナメの遡行となる。道が沢に下りたところで以前は無かった円筒形の大きな飛び石が対岸まで固定されているのはちょっと驚かされた。これで全く足を濡らすことなく桃洞滝まで歩いていく事が出来るようになってしまった。
 ナメの上をひたひた歩き、僅かで桃洞滝に到着。今日は水量がやや多く滝全体に水のベールがかかっているかのようで実に美しい。ここまでは全員で一緒に来たが、舘野さん一家は引き返し赤水沢へ行くとのこと。我々4名はそのまま遡行を続ける。
 左から美しいナメ滝の連続で入る支沢との出合で秋田県でガイドをしておられる福士さんの2名パーティーと話をしていろいろと情報を頂く。出合の先で左からの倒木で少し荒れていたがあとは以前通り美しいナメがずっと続く。幅広2段10m中滝の上段には左にロープがあるのだが、敢えてど真ん中を突破。10m男滝はおとなしく右のロープ沿いに登る。この先で以前遡行した時につめた支沢を左に分け、相変わらずナメとナメ滝が続く中をどんどん歩いていく。
 所々うるさいくらい赤テープやトラロープがあるのだが、これは7月に行われるアドベンチャーレースというものの為に設置した物らしい。イベントの是非はともかく、人造物をイベントの為に付けるのはまあ仕方が無いとしてもせめて終了後は撤去してもらいたいものだ。
 稜線の登山道へ抜ける沢との二俣を過ぎるとさすがに倒木に堰き止められた堆積物などが散見されるようになってしまったが、滝らしい滝は無く歩いていくとやがて水線が消える。今回は、桃洞沢の本流筋をつめて一旦尾根を挟んで反対側の桃洞沢支流に下りて先ほど見送った左からの支沢を再び登り返して赤水沢に繋げようというルートにしたので、この先また桃洞沢に下降するという事になる。
 やや急な斜面を下っていくとすぐに沢形がはっきりして問題無くつめあげる予定の支沢に到着。この先は3mほどの滝を2つ越えるがこれが結構楽しめる。そのまま歩いていくと再び沢が無くなり更に反対側の窪みを下りていくと僅かで赤水沢のナメとなる。
 下るにつれてやや傾斜が急な部分が出てくるようになり、ブッシュにつかまったり駆け下りたりして楽しく下降する。程なく赤水沢本流と合流。ここも広くて気持ちが良い。この先幾つか落差のある滝も出てくるが、降りられない滝はステップが切ってあるのでロープを出すことなくどんどん下降する。途中懸垂していた3名パーティーを抜き、大きく水が溜まっているところを過ぎるといよいようさぎ滝の連瀑帯となる。
 ここは両岸スラブとなり明るくとても美しいところだ。最初の2つの滝を左岸のバンドとステップを使って小さく巻き、うさぎ滝は上段は左岸のステップを利用してクライムダウン、下段はこの沢のハイライトでもある?左岸から右岸に向けて水流中を斜めに駆け下りる。ここは本当に笑いが絶えない楽しいところである。全員滑って釜に直行することなく無事に駆け下りる事が出来た。
 下った釜の脇でビールを飲んで小休止。あまりの気持ち良さに昼寝でもしたくなってしまう。暫くすると先ほどの3名パーティーが懸垂下降してきたので、思わず「駆け下った方が楽しいよ〜」と叫びたくなってしまった(?)。
 あとはナメをただひたひたと下るのみ。沢田石さんはまたしてもイワナを手掴みで捕まえ一同拍手喝采。禁漁区域なので勿論すぐに放す。玉川温泉への沢を合わせ、両岸スラブの美しい「天国の散歩道」を過ぎた辺りで舘野家と再会した。玉川への分岐まで家族で歩いて行ったとの事である。こんなに長い時間遊んでいたとは少々驚きであるが、まだまだ2人のお子さんは元気満々といったところであった。
 さらにどんどん下り、幅広の小滝を過ぎるとナメは終わり左岸の道へと上がる。桃洞沢出合からは往路をたどり野生鳥獣センターへ。下山後テントをオートキャンプ場(なんと無料になった様である!!)に移し、舘野さんを交えて打ち上げとなった。

8/15 朝食がもう使い果たしてしまって無いのでお茶だけ飲んで早々に帰途につく。盛岡ICから東北道で帰ったが、若干渋滞した個所があったものの大したことはなく、順調に帰宅することが出来た。


 悪天で本来の目的地である和賀の堀内沢は、三角錐岩塔を見に行くだけのようななんとも間抜けなものになってしまいましたが、そのお陰でノロ川源流を再訪できたのは私にとっては決して不満が残るものではなかったと思います。本当に何度行っても素晴らしいところですね。またいつか家族と一緒に訪れてみたいと思いました。


コースタイム
8/12 夏瀬温泉(7:55)―取水口(8:30)―幕営地点(12:15)
8/13 幕営地点(8:15)―取水口(8:58)―夏瀬温泉(11:45)
8/14 野生鳥獣センター(9:50)―桃洞滝(10:50)―赤水沢本流(13:34)―うさぎ滝(14:10)―野生鳥獣センター(16:44)


遡行図

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