今年のGW前半は、槍・穂高周辺を滑ろうと計画していたのですが、私が2週間ほど風邪で体調を崩していてそのまま連休に突入ということになりそうだったので、体力的に楽な白馬岳周辺に変更してもらうと云うことになりました。
4/26 17:30JR府中本町駅集合。中央道を順調に豊科ICまで走り、栂池スキー場に到着。私は体調不良でアルコールを1滴も飲まずに(ここ2週間ほど全く飲んでいない)仮眠する。
4/27 当初の予定では、金山沢を滑って猿倉に入り、翌日大雪渓を登って白馬山荘に行くつもりだったが、明日の好天が確実なことと、なんと栂池自然園までのロープウェイが運行されていたので、今日中に白馬岳を越えて白馬山荘へ入ってしまおうと云うことになった。
ロープウェイ終点から天狗原を経由しないで直接船越ノ頭を目指して登る。すぐには稜線に上がらず、金山沢の源頭をトラバースしてシールのまま稜線へと楽に上がることが出来た。稜線に出ると所々雪がとぎれていて夏道が出ていたので板を担ぐことにする。小蓮華山で小休止。天気はほぼ無風快晴で休憩していても全く寒くならない。一旦下った辺りは白馬沢右俣の滑降開始地点である。再び登りに転じると僅かで三国境。
この辺りから私の体力は残量ゼロ状態となり、白馬岳へのだらだらした登りが何ともつらい。とにかくつらい。こんなにつらい登りは初めてではないかと思える程(?!)つらい。上がらない足をだましだましようやく白馬岳に到着する。私にとってはなんとこれが初めての白馬岳山頂である。通常ならばビールで乾杯!というところだが、今日は誠に残念な事にそういう気にはなれない。しかし360°抜群の展望で、しかも他に誰もいない我々だけの山頂に気分だけはすこぶる上々である。
白馬山荘までの下りは滑って降りる事が出来るものと思っていたが雪など全くない。信州側からは見えなかったが、主稜線の西側には驚くほど雪が少ない。白馬山荘に到着すると、山荘の方々も天候の都合で今日ヘリで入ったそうで準備に追われている。到着後早速、約半月ぶりのビールで乾杯するが、やはり体調はすぐれず、夕食後、私だけすぐに床についた。
4/28 今日も朝食をやっと詰め込むような状態で体調が芳しくない。天気の方は申し分ないが風がやや強い。舘野さんと岩崎さんは旭岳の山頂から滑るというが、私は昨日の体調では不安を感じ、ここは体力を温存して直接清水谷に滑り込む事とする。全く情けない話ではあるが無理は禁物である。二人が旭岳に登るまでしばらく山荘で待って時間差で出発する。
清水谷は、あまり広くはないが、程良い傾斜の斜面が続き、正面に剣岳を見ながら気持ちよく滑っていく。緊張感はないが、何とも感じのよいところだ。一ヶ所新しいデブリがあったが、非常に気分良く2280mの二俣まで下る。二俣はまるで氷河のクレバスのように割れ目が走り、なかなか壮観だ。小休止の後、シールを付けて杓子沢のコル目指して登り返す。緩い傾斜が続き楽に登ることが出来たが、最後はコルの手前で雪が途切れていたので、白馬鑓ヶ岳への雪がついた浅い沢状の斜面をアイゼンに履き替えて登る。雪が一旦切れたところで左の夏道に乗り換え、僅かな登りで鑓ヶ岳の山頂に着く。風が強いが展望は抜群で、今回最後のピークからの眺望を大いに堪能する。
さていよいよ本日のメインとなる鑓沢の滑降となる。滑り出しは山頂から南側に少し歩き、雪がつながったところで板を付けて滑降を開始する。最初は結構な急斜面であるが、雪面は適度に緩んでいて実に快適である。下るに従ってカール状の斜面は広がり、抜群のスケール感である。あまりにも広大な斜面に狂喜の滑降が続く。傾斜が緩んだ辺りで小休止するが、振り返ると我々が滑ってきた鑓ヶ岳山頂付近から天狗平辺りまでの鑓沢源頭の広さに圧倒されてしまう。
その先、左側の沢に滑り込むとさすがに雪が腐ってくるが、やや狭くなった沢筋を右に回り込むとすぐに鑓温泉となる。猿倉から登ってきたという山スキーヤー3名に会う。その先、杓子沢の合流地点は杓子沢からの大きなデブリが埋め尽くしている。板を履いたままそのデブリを渡ったところで小日向のコルへの登り返しのためシールを貼るが、ここから振り返る鑓沢は、ヨーロッパアルプスの氷河を彷彿とさせる程雄大である。緩やかな登り返しで小日向のコルに到着。ここからはもう登りはなく、猿倉に滑り込むだけである。長走沢と中山沢の間の台地にはテントが何張りか張られている。結局は長走沢には下りずに夏道のある尾根を滑って猿倉に到着した。
4月中は猿倉までのバスはないので車道を二股まで歩くことになるのだが、今日の充実した滑りの余韻に浸るにはちょうどよい距離かも知れない(?)。二股からは、偶然居合わせた登山者に車で白馬駅まで送っていただいた。駅前で蕎麦とビールで軽い打ち上げをする。その後タクシーで栂池スキー場に戻り、駐車場で再び打ち上げの宴会の後仮眠、翌朝帰宅した。
今回は風邪で体調が悪く、初日は大変苦労しましたが、2日目の滑降は実に素晴らしいものとなりました。白馬岳というと大変な人気エリアのような気がしますが殆ど人に会わず、静かな山行になりました。私にとっては初めての白馬岳だったのでとても好印象でした。
滑降ルートとしては、清水谷の和やかな滑降と、鑓沢のダイナミックな滑降とが対照的でなかなかの好ルートと言えましょう。特に鑓沢は日本屈指の滑降ルートかも知れません。広さといい、斜度といい、申し分ないでしょう。2日間ながら内容の濃い誠に充実した山行となりました。しかしながら、天気が良過ぎだったのか(?)私の顔は今までに経験の無いくらい日にやけ、とても人前に出られる状態ではないようになってしまいましたが・・・。
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