今年の7月に計画していて悪天で流れていた笹木沢にようやく行って来ました。しかし、またしても雨に降られ、大倉川本流下降〜笹木沢遡行という計画は変更になりました。
8/29 沢田石さんの車で20:00頃迎えに来ていただき、佐治さん宅経由で23:00頃東川口駅にて新井さんを拾う。そのまま東北道で一路仙台へ。仙台宮城ICを下りると、陸前落合駅で岩崎さんと合流してようやく全員集合。天気予報では明日は晴天だが、明後日は雨になることがほぼ確実な為、当初の予定の柳沢小屋への林道終点から入山して大倉川を下降して笹木沢に入る計画を変更し、定義林道から支流を下降して笹木沢に直接入渓する事にする。大倉ダム付近の東屋にて仮眠。
8/30 定義を経て定義林道へ向かうが、予定を変更したので何と林道が載っている地図が無いこと気づき、定義の土産物屋で人に尋ねるが要領を得ない。地図を見た記憶を頼りに林道の看板を見ながら進むと定義林道の入口には立派な看板が立っていて問題なく入渓点の支流まで入ることが出来てほっとした。
早速準備をして下降を開始するが、二つほど小さな滝があっただけで30分程で大倉川本流に降り立つ。本流をしばらく歩くと笹木沢出合となる。出合で小休止後、笹木沢に入るとすぐに釜の深い滝が連続する。3m程の滝を2つ越え、きれいな6mナメ滝は左から越える。4m幅広滝に続き、5m・6mの連瀑はなかなか美しい。どれも傾斜は緩いので問題なく通過できる。連瀑を越えるとナメ床が続き、思わず顔がほころんでしまう。この先、時折傾斜の緩いナメ滝を交えてナメは殆ど途絶えることなく続いていて、思っていた以上のナメの素晴らしさに大喜びでひたひた歩いていく。
しばらく進むと、両岸が狭まり滝が連続する。最初の7m滝は左の踏み跡から巻き、懸垂下降で沢に戻る。3m・6mの2段滝は上段は左をシャワーを浴びて登る。続く8m滝は下部が立っていてロープを使用し、水流右を沢田石さんがリードする。この滝を越えると、いよいよ30m大滝(鎧滝)が現れる。
評判通りのとても美しい滝で、滝をバックに全員で写真を撮った後、早速登り始める。1段目を登ったところから念のためロープを出し、終止水流左を快適に直登して滝上に立つ。落ち口から下を見おろすと美しい釜が連なり実に素晴らしい景観で、全くもって気分は最高だ。下から眺めても、上から見おろしても何とも魅力的な滝である。続く10mナメ滝は、釜で左から合流する水量の少ない支流が異様なほど沢床が低く(まさか間違えて左に行く人はいないと思うが・・・)、ちょっと妙な光景だ。この滝は左から越え、主な滝場は終わりとなる。
あとは良い幕営地を探すだけであるが、明日の悪天がわかっているので出来るだけ上まで行っておきたいところだ。いくつか候補地を見送った後、右岸に良さそうな場所を見つけ本日の行動を終了する。辺りは流木が豊富で、明るいうちから焚き火を囲んで楽しいひとときが過ぎていった。
8/31 昨夜からの雨はやむ気配がない。朝食後、テントの中で出発準備をしていると、なぜか佐治さんがビニール袋に穴をあけて雨具を作り出す。なんと雨具を忘れてきたそうであった。
昨夜から随分降っていたと思うのだがそれほど増水した感じはないのは既に源頭に近いからだろう。余り高度を上げることなくやがて蛇行を繰り返すようになると、沢田石さんは沢から離れてショートカットして歩き出すが時間的に大差ないようであった。忠実につめていくとそのまま傾斜が増すこともなく仙台カゴのやや西よりの登山道に出た。
しばらくはなだらかな登山道を歩き、仙交小屋分岐でいよいよ林道に向かって下り始める。磁石で方向を定めてひたすらまっすぐ歩いていく。藪は大したこともなく、やがて赤テープがこまめに付けられているのを発見してそれに従い下りていく。赤テープは途中で途切れてしまったが、鬼口沢にそのまま下りていき、少し沢沿いに登り返して左岸に滝で入る枝沢を登って林道を探す。適当なところで右にトラバースして歩くと林道跡に出ることが出来た。
所々藪が覆い、踏み跡が見えないほど荒れている林道をひたすら下っていくが、しばらく歩くと立派な林道になる。途中、林道から覗き込む大倉川本流は、V字谷がなかなかの景観で下降できなかったのは残念だ。落ちている赤倉橋の手前には立派な巻道があり、赤倉沢へは問題なく下りられる。ロープが残置されている所を登り返し、橋の対岸に落ちている支流の滝を懸垂下降する。確かにここは今回の山行の核心かも知れない(?)。あとは雨の中、山行の余韻に浸りながら林道を歩いて車に戻った。
笹木沢は、綺麗なナメと美しい滝がこれまた素晴らしいブナ林の中に溶け込んだ実に良いところでした。船形山は今回初めてだったのですが、あんなに上まで林道が延びていながらまだ美しいブナ林が伐採されずに残っているところがたくさんあるのですね。天候の関係で大倉川本流を下降できなかったのは残念でしたが、短いながら東北の優しい沢を充分満喫することが出来ました。
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