奥利根 楢俣川・前深沢〜狩小屋沢


2003年10月4日〜5日   メンバー:沢田石(L),徳山,森田


 今回の山行は、「奥利根の名渓において紅葉を鑑賞し、キノコを味わう」という沢田石リーダーによる目的のもと、楢俣川支流の前深沢から至仏山に登り、狩小屋沢を下降する計画でしたが、まさかの降雪のため多少混乱する事になりました・・・。

10/3 20:00頃に沢田石さん宅を経由して、21:00JR高円寺駅で徳山さんを拾い、練馬ICから関越道にのる。酒類調達の関係で?月夜野ICで下り、湯ノ小屋温泉を経由して結構早い時間に林道ゲートに到着した。とても寒い。ゲートを越えたところにテントを張り、ビールで小宴会の後仮眠。

10/4 当初はツェルト2張りで行く予定であったが、昨夜の寒さからテント持参に変更する。まずは長い林道歩きである。ヘイズル沢出合の橋から楢俣川本流に入渓するが、水が冷たく、濡れたくないので10分程であっさりとあきらめ再び林道に上がり狩小屋沢の先で再度入渓する。水量は豊富だが特に濡れなければならないところはなく進んでいく。矢種沢を過ぎて、前深沢出合手前の連瀑はなかなか絶景である。前深沢出合で小休止。徳山さんにところてんをいただく。ディスポーザブル注射器のような入れ物に入っていて、その場でついて食べるという優れもの。美味。
 前深沢にはいるとすぐに中深沢が10m程の美しいナメ滝で入り、前深沢も5m滝となる。その先、4m滝を越えるとなんだかすっかり小川のようになってしまう。インゼルを過ぎた先の12m滝は直登は無理そうで、右の枝沢から巻いて沢に戻るとキノコの群落発見!。早速沢田石さん持参の「キノコ識別図鑑」で識別を試みるが、似たようなものはあるものの決め手に欠く。とりあえず少し採っていくことにする。木が立てかけたようになっている15m滝は左を快適に直登。その先しばらく進むと今度はブナハリタケを発見!。これで今夜はキノコを食べることが出来ることが確定した。さらに少し進んだ所でもブナハリタケの群落を発見し、十分な量のキノコを手に入れることが出来た。
 さらに進むと、美しいナメが続くようになり、やがて両岸が狭まって、ゴルジュの中に滝が連続するようになるが、どれも楽に越えることが出来てなかなか楽しく、いい感じの所である。このゴルジュを過ぎるといよいよ50m大滝となる。さすがに迫力があるが傾斜はそれほどきつくなく、水流右をノーザイルで登っていく。下部はホールドもあり問題なく登って行くが、登るに従って傾斜がきつくなり、落ち口下のテラスに上がる直前がホールドが無くなりフリクション登攀となる。何分落差があり、落ちれば怪我では済まない所なので、本来ならばきちんと確保して、支点を打って登るべきであろう。何とか無事に落ち口まで這い上がり、上からロープを投げる。30mでは足りないので、途中まで登っていた沢田石さんが、シュリンゲをあるだけつなげて何とか徳山さんまで届いたようだ。
 この滝を越えると、すぐに20m程の綺麗なナメ滝が続き、その上に何とかテント1張設営可能なスペースを見つけ、今日の行動を打ち切る。少ない流木をやっと集めて焚き火をつけるが、すぐにまさかの雨が降ってきてしまい、泣く泣くテントに引き上げる。焚き火での調理を前提としていたので、ガス節約のため米を炊くことを諦め、キノコ汁と日本酒の夕食となったが、十分に幸福感に浸れるひとときであった。

10/5 朝目覚めると雨はやんでいた。テントの外に出て至仏山を見上げると、なんと山頂付近は真っ白になっている。実に美しいのだが、あそこを登るのかと思うと・・・。
 釜揚げうどんの朝食で十分に暖まり、撤収して出発する。上流は大方急なゴーロが続きどんどん高度を上げる。最後の二俣は、大きなチョックストーンがある右俣に入り、少し登るといよいよ雪の世界となる。最初のうちはうっすら雪が積もっている程度で、渓流シューズでも意外に冷たくないものである。しかし、山頂が近づくに従い、雪の被った松や潅木を漕ぐようになり、素手ではすぐに冷たくなって全く閉口する。
 最後は藪漕ぎを嫌って南峰直下の岩場を抜け、南峰の頂上に直接出た。上に出ると意外にも雪は少なく、登山道を途切れることなく登山者が歩いている(さすが百名山?)。先程までとのギャップがあまりにも激しいので何だか笑いが止まらない感じである。三角点のある山頂を往復し、この時点では狩小屋沢下降は無理と判断して下山は鳩待峠に決定し、タクシーで車まで戻るつもりでいたのだが、いざ下山を開始して狩小屋沢下降点付近にさしかかると、さっきの登りが嘘のように雪が少ない。これならばと先程決めた予定をまた変更して、当初の計画通り狩小屋沢を下降することにした。
 心配だった雪も全く問題なく、急なゴーロをどんどん下っていく。20m滝をずぶ濡れになって下り、しばらく進むとようやく傾斜が緩くなる、ナメ・ナメ滝が適度にあり、なかなかいい感じである。途中、10m滝を懸垂下降したときに落石でロープを損傷してしまった(最近なぜかよくある・・・)。それ以外はロープを出すところもなく、順調に下降したつもりだったが、キノコを探しながら下ったとはいえ、林道まで4時間もかかってしまった。某奥利根のガイドブックによると2時間見れば十分とあるのだが・・・。楢俣林道では幸運なことに途中で軽トラックが通りかかり、乗せていただくことが出来たので1時間以上短縮することが出来た。

 今回は目的通りキノコを食べることが出来、雪が降るという予想外の事態があったのも含めて予想以上に充実した2日間になりました。雲がかかっていたため、至仏山から草紅葉の尾瀬ヶ原を見下ろすことが出来なかったのは残念でしたが、山頂にダイレクトに出るというのは、やはり気分がいいものですね。林道歩きがやや長いですが(今回は帰りは幸運でした)、秋を満喫できた楽しい山行でした。軽トラックに乗せて下さった方、どうもありがとうございました。


コースタイム
8/30 林道ゲート(7:40)―ヘイズル沢出合(9:04)―前深沢出合(10:25)―幕営地(13:56)
8/31 幕営地(8:00)―至仏山南峰(10:00)―狩小屋沢下降点(11:00)―林道(15:04)―林道ゲート(16:15)


遡行図
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