南会津 黒谷川・大幽東ノ沢


2003年8月9日〜12日   メンバー:佐治(L),沢田石,嶋,森田


 今年のお盆山行は、大幽東ノ沢から丸山岳に登り、西実沢を下降しようという計画を立てたのですが、台風を含む連日の悪天の結果、往路を下降して下山ということになってしまいました。

8/9 前夜発の計画であったが、台風の影響をまともに受けて出発を遅らせる。私の車で沢田石さん宅を経由して9:00に秋葉原駅集合。途中雨が激しく降り、これから沢に行くとはにわかに考え難い。車中、物議をかもした?佐治さんの質問などがあったものの、順調に14時過ぎに大幽沢出合に到着する。
 雨はやんでいて、しかも沢の水量は平水で全く濁っていなかったので、これならば沢に少し入ってテントを張ろうと歩き出すことにする。ところが、少し歩くと再び雨が降ってきてしまったので、取水口のダムを越えたところで適地を見つけ、テントを張ることにする。今回の山行の食事は、基本的にたきびで調理ということになっているので、雨の中たきびをおこして夕食とする。メジロに悩まされながらもたきびを囲んで飲んでいたが、雨足は衰えず次第に水位が上がり出し、テントを張った河原も中州にならんばかりの勢いである。念のためテントを一段高い草地に移した後、宴会を続行する。その晩はテントにネットがない為に蚊にやられて寝付けない一夜となった。

8/10 雨は上がって晴れ間がのぞいていたが、水量はかなり増水していて水はまだ随分濁っている。しめった薪でたきびをおこし朝食をとって出発する。水量が多く妙に迫力のある中を進んで行く。西ノ沢出合の手前で淵を左から巻いたところ、その先左岸沿いには進むことが出来ず、底が見えない濁った水流をロープを出して2人ずつスクラムで徒渉する。ここでこんな調子だと先が思いやられるが、あとは水量が多いながら特に問題となるところもなく順調に遡行を続ける。
 やがてこの沢の核心である窪ノ沢出合手前のゴルジュに突入する。最初のうちは楽しく遡って行ったが、1ヶ所やや悪い草付きの巻きがあり、その先水流の早い淵に行く手を阻まれる。佐治さんが左を泳ぎで突破を試みるがあえなく敗退。今度は右を壁づたいにホールドを拾って進むが、やはり流れに剥がされてダメ。ゴルジュ入口まで戻って巻道を探そうかとも思ったが、それもそれなりに大変なので右壁を私が空身で登る。何とかなりそうに思ったが結構悪く、でも何とかなって立派な巻道に出ることが出来た。ところが、この登りで落石によりロープを損傷してしまう。
 巻き道を辿っていくと窪ノ沢出合に出る。ここで二名の釣師に会い、いろいろと情報をいただく。出合から見るゴルジュ出口は、とても泳ぎで突破できるという次元のものではなく、水量の多さを如実に物語っている。巻道に上がって正解であった。窪ノ沢を分けると沢は今までに比べて穏やかになり、途中雪渓の破片を見送り、そろそろ釣竿でも出そうかと思ったら竿が無い!。昨夜の幕営地にでも落としてきたのか?。1046m二俣手前の右岸に絶好のテントサイトを見つけてテントを張る。昨日びしょ濡れになった荷物をテントの周りにばらまいて乾かしている様子は、さながらゴミ捨て場のようである。その晩はたきびを囲んで歌あり踊りあり?のテンションの高い一夜となった。

8/11 今日の計画は、予定では丸山岳に登り西実沢を下降する事になっていたが、明後日の天気が見えず、とりあえず今日は空身で丸山岳を往復し、晴天が続く様なら明後日は西実沢下降点の近くに出る支沢をつめて西実沢へつなげるという計画に変更する事にした。
 小滝を幾つか超えて進むと、きれいなナメ滝7mとなる。今まで滝がなかった分、小滝が頻繁に出てくるように感じる。一番落差が大きいと思われる10m多段の滝も全く問題なく越え、さらに進むと最後の二俣となる。山頂に近いところに突き上げる右俣はナメ滝で合流している。ここはいろいろと思案した結果左に入る事とする。
 次第に細くなる水流をどんどん進み、稜線が間近になったところで草原の中の3m泥滝にぶつかる。左から巻いて上にあがると景色が一転し、突然美しい草原と雪渓が目に飛び込んでくる。なかなか素晴らしい光景である。雪渓を左から回って登ったところで小休止。ここは既に稜線から数mといったところである。
 その後いよいよ藪漕ぎが始まるが、時折なんとなく人が通った跡のような所もあり、薮漕ぎ自体も大したものではない。途中やや軌道修正しながら30分ほど進むと、突然薮が途切れ湿原が広がるところへ飛び出す。そこは既に頂上一帯の湿原の一角であった。ここからははっきりした踏跡が続いている。もう思わず駈け出したくなる気分を抑えて池塘とニッコウキスゲの点在する踏跡を辿る。20分程で誰もいない丸山岳山頂に到着する。
 話には聞いていたが、山頂一帯がこんなに広い湿原になっているとは正直思わなかった。もう何も言う事のない素晴らしい山頂だ。ビールで乾杯の後、あまり気持ちがよいのでのんびりとしていこうと「昼寝の時間」とする。どうせ今日はテントに戻るだけなのだから・・・。しかしながらまことに残念なことに1時間もすると雨粒が落ち始め、仕方なく後ろ髪引かれる思いで慌てて下山にかかる。
 下りは湿原からすぐに下ることができる右俣を下山しようと湿原の端から左に少し入っていくと赤テープがあり、なんとそこからすぐに沢が続いている。つまりここに登ってくれば薮漕ぎなしで山頂に辿り着けると云うことだ。どんどん下っていくと何本か支沢を合わせて最後の二俣に到着。往路を幕営地まで戻る。
 テントに戻って明日の天気予報を聞くとやはり雨のようで、西実沢の下降は断念し、明日は東ノ沢を下降して下山することに決定。最終日のたきびは宴たけなわの頃、残念ながら雨が降ってきてしまってお開きとなった。

8/12 予報通り朝から雨である。今回の山行で始めてテント内で朝食をとって早々に下降を開始する。窪ノ沢出合までは特に問題は無いが、心配だった出合下のゴルジュは、左岸の巻道を使うことですべてを巻くことが出来てひと安心。雨の中を黙々と歩くが、雨だというのにメジロはしっかり集まってくる。西ノ沢出合下のロープを使って渡渉した地点はやはり左岸に巻道を見つけることが出来て徒渉せずにすんだ。ところが、その道はずっと左岸沿いに続いており、殆ど沢に下りることなく取水口まで下りてきてしまった。初日の幕営地には、予想通り私の釣竿が落ちていたので回収。取水口で小休止するが、この先も取水口管理用の道が続いていてそちらを歩いて下っていくと、大幽沢出合の釣橋に出て4日間の山行に終止符を打った。


 今回の山行は天候不順でずっと増水して濁った沢を歩くことになりましたが、おかげさまで大変迫力のある大幽東ノ沢を満喫することが出来ました。下流部はメジロや蚊で正直快適ではありませんでしたが、上流部はそれがなくほっとしました。また、丸山岳は実に静かないい山で、今回は単に丸山岳を往復しただけの山行になってしまいましたが、このような悪天の状況下では充分に満足出来た4日間でした。もし丸山岳を再訪する機会があるとしたら是非とも大幽西ノ沢かメルガ股沢を遡行して登ってみたいと思います。


コースタイム
8/9 大幽沢出合(14:40)―幕営地(15:15)
8/10 幕営地(6:50)―東ノ沢出合(7:53〜8:05)―窪ノ沢出合(12:05〜12:40)―幕営地(14:30)
8/11 幕営地(7:15)―稜線(9:20)―丸山岳(10:38〜11:40)―幕営地(?)
8/12 幕営地(8:00)―窪ノ沢出合(9:30)―大幽沢出合(11:50)


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