虎毛山塊 ワルイ沢〜赤湯又沢(下降)〜虎毛沢

2001年8月17日〜19日    メンバー:北,佐治,沢田石,森田(銀座山の会) 佐々木(山岳同人かわせみ)


 今回の山行は、赤湯又沢の温泉に浸かり、虎毛沢の亀甲模様のナメを愛でつつ山上湿原の虎毛山に登り、しかもアプローチには役内川で一番面白そうなワルイ沢を使うという気楽に楽しめ、且つちょっとだけ贅沢な?取り合わせの継続遡行としました。

8/16 21:00二子玉川駅に集合。首都高〜東北道で古川ICで下り、現地着は3:30頃になる。水上林道より少し先に行った車道が三叉路になっている所の脇に車を停めて軽くビールを飲んで仮眠。

8/17 下山の事を考えて車をどこに停めておくべきか少し考えたが、結局昨夜停めた所にそのまま停めて出発する。水上林道は途中から薮がひどくなりツブレ沢に降りる。河原を少し歩くと正面に大きな堰堤が現れ、その手前で左からワルイ沢が入る。
 最初の10mは左から越える。すぐにナメの2連瀑となり、なかなか美しい。さらに進むとゴルジュの中に5m滝がかかっている。ここは少し手前から次の滝も一緒に右岸から高巻く。二俣を左に入り、しばらく歩くと亀甲模様のようなナメを少し見ることが出来た。V字状の谷にナメ滝が続く渓相が続き結構楽しめる。20m滝は通常右を登るが、私は左上するバンド伝いに越える。その上は2つ程滝を越えると滝はなくなり、あとは沢筋をどんどんつめるだけである。稜線がかなり近づいたと思われるところで、なるべく赤湯叉沢の下降点の近くへ出ようとやや右寄りにどんどん直上すると、たいした薮漕ぎもなく登山道に出た。
 そこから登山道をほんの僅か下ったところの1033mピーク手前のコルから赤湯又沢へ下降開始。1分と経たないうちに沢形が現れどんどん下って行く。この左俣の源頭は殆ど最後までナメが続いていて、まるで舗装道路を下るかの様な快適さである。この様なうれしい事態は予測していなかったので、いたく感激してしまった。たまに現れる滝はつるつるのナメ滝なのだが、ブッシュ伝いに降りられるものばかりで全く問題なし。ロープを出すような所も無く順調に下降する。まさに下降の為にあるような素晴らしい(?)沢だ。二俣手前はちょっとしたゴルジュになっているが通過に問題はない。二俣に着いてみると右俣の方が沢床の石の色が赤く、温泉が多く出ているものと思われる。ここまで来るともう頭の中は温泉のことしかない。二俣から少し下った所に幕営適地を見つけ、そこに荷物を置いて下流を偵察しに行く。さらに少し下ったところで左岸に噴気の上がっている広い台地があり、その周辺で温泉を探してみると、ありました!全部で3箇所程入れそうな湯船が!。早速この地熱で暖かい台地を今夜の幕営地に決め、ビールを川で冷やし薪を集めてから待望の温泉に入る。こんな山奥で温泉に入りながらビールを飲めるなんてもう最高!!。何も言うこと無し。  夕方になって、沢田石さんがチョー・オューで一緒だったという秋田の山仲間、佐々木延助氏が合流する。佐々木氏は夜勤明けで昼頃湯ノ又温泉を出発して登山道を高松岳経由で赤湯又沢に下って来られたそうである。そんなこんなで酒宴は盛り上がるが、昨夜の寝不足の所為か、天然オンドルの所為か、一旦横になるとあまりにも気持ちよく、通常よりも早い時間に焚き火の周りでめいめい寝してしまっていた。

8/18 地熱のお陰でぽかぽかの一夜を過ごした(人によっては熱くて眠れなかった?)、温泉・オンドル付きの幕営地を6:30に後にする。赤湯又沢は、途中滝らしい滝もなく虎毛沢との出合に到着する。出合はゴルジュになっていて、赤湯又沢が滝で合流しなかなか美しい。小休止後虎毛沢の遡行を開始するが、私は先行させてもらい釣りながら遡る。しばらくは河原が続くが、のんびり釣りながら歩くのはなかなかいいものだ。しかしながら、先行者の足跡があり、そのせいか釣果はあまり芳しくない。ちょっとした滝場にさしかかったところで竿をしまう。
 それにしても温泉と共に今回の目玉である「亀甲模様のナメ床」がなかなか出てこない。随分下で半分埋まって右岸に少し見えて所があったが、ひょっとしてあれだけか?との疑念も沸いてくる。数種類の岩質のナメが交互に出て来て、それぞれとてもいい感じで美しいのだが、もう頭の中は「亀甲ナメ」のことしかない(?)。肝心の「亀甲ナメ」はどうしたのだ!と思っていると、かなり上流に行ったところでようやく出てきた。赤い亀甲模様が沢床に浮かび上がる様はこれまた誠に見事である。いやぁ感激!
 二俣も近づいたのでそろそろ幕営適地を探しながら歩くが、二俣の少し手前にある小滝の下の小さな平坦地を「景色の良いところ」という沢田石さんのたっての希望で本日の幕営地とする(まだ昼前だというのに・・・)。とにかく時間はたっぷりあるので、酒・昼寝・釣りとめいめいのんびりと過ごす。たまにはこんな贅沢な時間を過ごすのも本当にいいものである。
 食当の連絡不足で偶然にも昨晩と全く同じメニューの夕食にも誰からも文句は出ず、焚き火を囲み、岩魚の骨酒に酔いしれたまでは良かったのだが・・・。昨日同様ツェルトも張らずに適当に寝てしまったのだが、昨日の天然オンドルとは打って変わって朝方には寒くて寝られなかった人が少なからずいた様である。

8/19 朝方寒くて目覚め、焚き火をおこす。昨日とまたしても全く同じメニューの朝食をとり出発する。すぐに二俣となり右俣に入る。ここからは今までと違い滝が多くなる。7mナメ滝は、右に立てかけてある木を使って取り付く。右から支沢を合わせたところの7m滝は水流右を登るが、念のためロープを出す(結局今回ロープを使ったのはここのみ)。その上も滝・ナメ滝がどんどん出てきて飽きさせない。特に困難なものは無いのでどんどん登って高度を稼ぐ。つるつるで急傾斜の数m続くナメを最後に滝は無くなり、沢をつめていくとやがて沢形も無くなって少し薮を漕ぐとまた沢形に出て・・・ということを何回か繰り返して結局は大した薮漕ぎもなく登山道に出ることが出来た。早速ザックをデポして山頂用に残しておいたビールとカップを持って山頂に向かう。オホーツク高気圧におおわれた爽やかな快晴の中、周囲の東北の山々の展望と美しい湿原を満喫。ビールが実にうまい!。
 ザックまで戻った後、私だけ車を回収するため先に下山。林道終点にザックをデポ、あとは黙々と林道を歩く。国道に出る少し手前から湯ノ又温泉への分岐までは通りがかりの車に乗せて頂き少し楽が出来た。(乗せて下さった方、有り難うございました。)


 赤湯叉沢の温泉・虎毛沢の亀甲ナメと目的がはっきりしていた(?)今回の山行でしたが、多大な期待(?)にもかかわらず全く裏切られることがないどころか、むしろ頭に思い描いていたよりも素晴らしかったという何とも見事な山行でした。とにかく、オンドルの広い幕場と適温の温泉がセットになっているなどという所は、日本国中そうざらには無いでしょう。今度行くときは卵を持っていって「温泉タマゴ」を作りたいと思っております。


コースタイム
8/17 駐車地点(8:00) ― ワルイ沢出合(8:46)―登山道(12:25〜12:40)―下降点(12:45)―二俣(14:23)―幕営地(15:00)
8/18 幕営地(6:30) ― 赤湯叉沢沢出合(7:30)―幕営地(11:55)
8/19 幕営地(6:21) ― 二俣(6:30)―登山道(8:58)―虎毛山(9:17〜9:56)―赤倉沢徒渉点(10:35)―駐車地点(12:15)


ワルイ沢遡行図
赤湯又沢遡行図
虎毛沢遡行図
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