裏岩手 葛根田川・松沢〜栗木ヶ原

2001年8月14日    メンバー:森田(真)


 1/25000地形図「曲崎山」に、登山道のない「栗木ヶ原」という湿原があり、以前から何となく気になっていました。今回、家族旅行中の半日を使わせてもらい、その湿原に至る葛根田川支流の松沢を遡行して、あまり訪れる人もないであろう山上の湿原を訪ねてみようという計画を実行してみました。

 車道の車止めで家族と別れてしばらく車道を歩き、松沢に架かる橋から入渓する。すぐに堰堤があり右から越える。左からの支沢 を分け少し進むと、温泉成分のせいか真っ赤な岩肌の美しい2段7mナメ滝となる。傾斜は非常に緩いので登るのに支障はない。続く8m滝は幅が広く立派で、滝の右側壁には噴気が上がっている。右にロープ(紐)がぶら下がっているが、下部が垂直で直登は無理そうに見えたので右から巻いてしまう(結局これは失敗だった)。小さく巻けると思ったが、すぐには沢には戻れずその上の4mナメ滝も一緒に巻く事になった。
 2条2mナメ滝を越えてしばらく行くと、2段10m滝となる。この滝はなかなか迫力があり、少々悪そうに見えたが取り付いてみるとそうでもなく、水流左を登る。この上にすぐもう一つ2段10m滝があり、こちらは先程の滝よりも傾斜が緩く快適に登る。この辺りは、短いながらもなかなか楽しめる。
 ここで滝場は終わり、この上は至る所で温泉がボコボコ湧き出ていてなかなか興味深い。時間があったら湯船でも掘ってひと風呂浴びれそうである。その先黄色っぽいナメが綺麗なのだが殆ど埋まっていて少々残念。それが終わると樹林の中の静かな流れとなる。沢が右に曲がり始める頃から一気に傾斜がきつくなり、大岩の急なゴーロをどんどん登っていく。沢が今度は左に回り込んだ辺りで急に傾斜が無くなり、湿原のある平地に出たことを知る。蛇行を繰り返す沢をどんどんつめていく。あとは水が無くなり、薮を漕げば湿原だとばかり思っていたが、一向に水流は細くならない。気が付くと左手に顕著な尾根がせり上がって来ている。何か変だと思い地図と磁石を見てみると、この水流は三ツ沼あたりの稜線に向かっているものであることがわかった。地形図からはこんなに太い水流があるとは思えないのだが・・・。
 すぐさま下降に転じ、磁石で湿原の方向を確認しながら歩き出す。少し下ると、右手が湿原になっているであろうと思われる平らな地形が続き、どこかで薮に入ろうと観察していると、スーパーのビニール袋が木に縛り付けられているのを発見。よくよく見ると踏み跡らしいものが続いている。「これだ!」と思い踏み跡を追うとほんの僅かで突然視界が開け、栗木ヶ原に飛び出した。結構広い。湿原の端からは見えないが、中央付近には大きな池塘がいくつもあり、何とも気分の良い場所である。ビール片手に木道も踏み跡もない湿原をうろうろ歩き回っていると、しみじみとしあわせな気分になってくるから不思議である。花が咲く時期にはすでに遅かったのが唯一残念だ。しかし、下山予定時間があるのであまりゆっくりしてもいられない。立ち去りがたい気持ちを押さえて下山にかかる。先程間違って登っていった沢筋をつめて稜線に出ることも考えられるが、地形図を見ると源頭付近は沢形が早くなくなってしまい、登山道まではかなりの薮漕ぎになるかも知れないので行く気にはなれず、予定通り同じ沢を下る。登る時巻いた最初の8m滝は、下降してみるとロープはしっかりしているし、ホールドもあるので難なく下りることが出来た。勿論登りでも問題無さそうであった。

 家族旅行の途中で思いつきで登った山行でしたが、山上の人のいない湿原の素晴らしさもさる事ながら、松沢自体も前半滝場が少しあり、温泉もボコボコ沸いていて意外にも楽しめたと思います。遡行の資料が無かったのでその分余計に楽しめたのかも知れません。今回の様な道のない湿原を訪ねる事が目的の沢登りというのもなかなか良いものですね。


コースタイム
車止め(9:11) ― 入渓点(9:16)―栗木ヶ原(11:04〜11:19)―入渓点(12:30)―滝ノ上キャンプ場(12:50)


遡行図
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