大行沢出合にかかる橋から、妻子に見送られて7:42出発。川幅いっぱいのナメ床を少し進むとすぐにゴルジュとなった。ここは、U字型の谷にいくつもの釜があり、ちょうど7月に遡行した中津川の白滑八丁に似た感じだ。側壁はフリクションでへつって行ける角度ではないのだがフィックスロープ(ロープというよりひもである)やステップが刻んであり、それらを利用してあまり濡れずに通過できてしまった。ゴルジュ出口の右から落ちる滝は、少し手前で左岸の倒木を利用して巻く。
ゴルジュを抜けて左岸に小屋を見送ると美しいナメが時折あらわれるが長続きはしない。4名パーティーを抜き、5mほどの滝を右から巻くと、巨岩がごろごろするようになる。とりあえずこの辺で竿を出してみるがさっぱり釣れない。しばらくして3人パーティー(さっきの4人と同じパーティーだそうだ)を追い越すと途端に釣れ出す。3匹釣れたが、一番大きいものだけキープして竿をしまう。
それにしてもゴーロが続く。ナメばかりの沢と聞いていたのでこんな筈では…と思いながら歩く。京渕沢を合わせると両岸が壁になるがすぐに終わり、出口の美しい2段滝は水流左を登る。相変わらずゴーロが続くが、再び竿を出してみると25cm近い良型が釣れ、気を良くして釣りはおしまい。もう登山道が横切る地点にかなり近づいてきて「この先ナメは本当にあるのだろうか?」と少し心配になりだしたころ、ようやくナメが続くようになる。一旦続き出すともう完全にナメ一色の世界に変ってしまい、思わず歓声を上げてしまう。あとはただひたひたと歩くのみ。
左からハダカゾウキ沢が5m滝で出合う所は本流も6m滝で両門の滝になっていて、左岸の上に避難小屋が見える。ここから本流は樋ノ沢と名前を変える。6m滝は水流右を登り、もう一つ滝を越すと登山道が横切る。その先もナメが続いている様子で、途中で釣った岩魚を水中に沈めてデポする。
しばらくは相変わらずナメの連続で気持ちよく歩くが、何時しかさすがに続いたナメも途切れがちになり、とうとう平凡な小沢になってしまった。しかし、また復活するのでは?との期待からとりあえず最後までつめる事にする。
源頭で穴堂沢を登ってここを下降してきたという4名パーティーとすれ違う。その人々に下降してきた枝沢を教えてもらい、その通りにつめるとすぐに登山道にでた。ブナ林がとても気持ちの良い所だ。ビールを飲みながら一休みしてから、時間の関係で穴堂沢下降はすでにあきらめていたので、再び同じ沢をどんどん下る。先ほどの4名パーティーを追い越し、岩魚を回収して登山道が横切る所から登山道に入る。避難小屋で岩魚を焚き火で焼いているパーティーがいたが、こちらも宿に帰って岩魚で一杯やるのを楽しみにどんどん下っていった。
大行沢の名からどこまでも続くナメを期待していたのですが、さすがに森吉山の赤水沢のように源頭まで完全にナメが続くという程ではなかったものの、十分ナメ歩きを堪能できました。下部は登山道を歩いて入渓点をうまくとれば、ナメだけを楽しむ事も可能ですが、下流のゴルジュや、途中釣も楽しめた事を思えば出合から完全遡行して良かったと思いました。
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