安達太良 箕輪山 山スキー

1998年1月24日   メンバー:阿部,高橋(直),棚橋,森田,山室

 箕輪山・安達太良山周辺は、私自身なぜか一度も滑ったことが無いエリアであった。その中で、色々なルート集にある箕輪山から横向温泉へのブナ林滑降が果たして箕輪スキー場が出来た今まだ生きているのか?そんな疑問と好奇心が今回の山行になった。
 23日22:00新宿に、阿部,棚橋,森田(真),山室が集合。24:00頃上河内S.Aで高橋(直)さんと合流。24日のルートについて検討するが、好天が全く期待できなかったので取りあえず箕輪スキー場から箕輪山往復と決め横向温泉中の湯旅館に向かい駐車場にて車中(棚橋さんは車外でツェルト)で仮眠。
 翌朝、予定より増員した分宿泊の予約を変更し(その時、1日券と駐車券を一枚づつ頂いた)スキー場に移動。一番上まではリフト2本で行けるので、1回券を2枚購入。しかしながらリフト乗場ではなぜかリフト券は受け取ってもらえず?結局買ったリフト券が丸々余ってしまった(個人差有り)。これが下山後大変活躍する事になる。
 リフト終点で呼び止められたパトロールに登山計画書を提出して登り始める。残念ながら視界は悪く山頂は全く見えない。適度な傾斜で、しかも直登可能な斜面を磁石を見ながら山頂目指して一直線に登るが、まだウオーミングアップも終わっていないのでは?といううちに傾斜が緩くなり、ついに平らになってしまった。「うそでしょう?」と思いながらも、どうやら本当にそこは山頂の様だった。登り始めて30分も経っていない。相変わらず視界は悪いが風は弱く、さっそくツェルトを被って登頂の祝杯をあげる。あまりに快適な山頂で1時間以上飲み続けてしまった。滑降に移るときになっても視界は回復せず、私と山室さんで前と後ろで方向を確認しながら下る。最初はシュカブラだらけの斜面だが、まだ発達途上で見た目ほど滑りにくくはない。やがて潅木が出てきてスキー場上部をかすめる様に避けて樹氷の中に突入する。最初は迷路の様だったが次第に解消しやや視界が開けると、目の前に待望の霧氷で真っ白なブナ林が現れる。ここから傾斜は増し、やや左にトラバースしながら快適そうな斜面を探して下る。
 このブナ林の中は顔まで雪煙が上がる(顔を雪の中に埋めるのではない!)申し分の無い深雪で、ここでの楽しさは全く筆舌に尽くし難い素晴らしいものであった。まさに山スキー冥利に尽きると言えよう(但し個人差有り)。流止めと格闘している山室さん、脱出訓練している棚橋さん、念力でターンしている阿部さん、最年長で一番はしゃいでいる高橋(直)さんと各人思い思いのシュプール(または人型?)をきざみながら雪と戯れ、しばし童心に帰った。やがて短い杉の植林を縫うと横向スキー場に続く切開きに合流。横向スキー場を経て旧国道115号を滑って箕輪スキー場へと戻った。ビール休憩の後、まだ時間が早いので今朝渡せなかったリフト1回券を使って一本リフトを上がったところからあのブナ林だけを滑る事にするが、またしても渡せない人が続出し、結局“山スキー冥利に尽きるブナ林滑降”を“リフトを使って”2回も滑ってしまった。
 その晩は、以前私が何回か利用して大変気に入っていた横向温泉の中の湯旅館に投宿。相変わらずのひなびた風情がとてもよい。すき焼きをつつきながら今日の夢のような深雪滑降を回想した。
 翌朝は、2時頃到着した小谷さんと共に安達太良山に登るためにあだたら高原スキー場へと向かう。しかしスキー場に着くと、悪天候でゴンドラが止まっていた。ゲレンデのいちばん下でもかなりの強風で、おまけにリフトは大変な混み様である。さらにおまけに高橋(直)さんがテレマークブーツを中の湯旅館に忘れてきた事も発覚し、また箕輪スキー場に戻って再びあのブナ林の深雪を2回滑って帰途についた。昨日に比べるとやや雪は締まっていたが快適さは変わらず、何度滑っても本当に素晴らしい。(小谷さんには山に登れず申し訳なかったですが、この2本で何とか満足いただけたでしょうか・・・。)

 今回は箕輪山往復だけしか出来ず少々残念でしたが、小粒ながら内容はなかなか素晴らしいものでした。予定にあった箕輪山北東斜面も国道から見た限りでは十分滑れると思います。箕輪山は、労せずして滑れる山としてまだ十分に楽しめると思いました。確かにスキー場が無かった頃と比べると本来の魅力は乏しくなったかもしれませんが、逆にスキー場がある事で悪天で視界の無いときでも安心して気軽に登れます。
 「ブナ林滑降と湯治場風情の温泉、あたたかい人情と東北の山スキーの要素をすべて満たしている」とは帰途車中での山室さんの言葉ですが、これほど東京に近く、手軽に東北らしさを味わえるのは貴重な存在なのかも知れません。

コースタイム
リフト終点(10:20)―箕輪山(10:45〜12:00)―横向スキー場(13:40)

追記:25日の2回目にリフト降り場からコース外に出ようとしたらパトロールに止められました。円満に解決するにはそれなりの対策が必要?しかもその直後に我々のシュプールに一般スキーヤーがついて来てしまうというおまけつきです。そのスキーヤーには口頭で注意しておきましたが・・・。


地形図
このページのトップへ

1998年の記録へ

トップ
はじめに
最近の山行
過去の記録
山の写真集
山の雑事集
自己紹介