森吉山 ノロ川・桃洞沢〜赤水沢(下降)

1997年7月31日   メンバー:森田(真)(単独)

 今年の夏休みは天気にたたられ、全く予定を消化できなかったので、タイムリミットの7/31(8/2から新歓がある為)に確実に晴れそうだった秋田まで足をのばしてしまった。
 ノロ川周辺は、来年、第12回日本ジャンボリー会場(何のことか私は知らない)になるということで、大規模な観光開発工事が行われている。その工事の関係でノロ川キャンプ場まで車で入れず、手前の臨時駐車場に車をとめて仮眠。
 翌朝、4:30出発。臨時駐車場からノロ川キャンプ場までは、樹林の中をしばらく歩くとノロ川沿いの道になり、林道にでるとすぐにキャンプ場である。周辺は遊歩道を整備しているらしく、ブルトーザーでならされた道を少し歩いて川を渡る。ここからノロ川沿いの登山道になり、平坦な、所々木道が敷かれている道を行く。ノロ川を覗いてみるとたくさんの魚影が走る。何だろうと思い、桃洞沢出合手前で一度ノロ川に降りて竿を出すとすぐに魚が群がり、釣り上げてみるとハヤであった。
 出合で登山道は赤水峠へ行く道と、桃洞滝へ行く道とにわかれ、桃洞滝の方へ入るとすぐにハヤ止めの滝がある。滝下にはハヤがたくさん泳いでいる。どうやらこの滝の下と上で、ハヤと岩魚が棲み分けているようだ。その少し上から入渓する。樹林の中を舗装道路のようなナメが続く。しばらく行くと両岸に岩盤が露出するようになり、眼前の光景にただただ唖然とするばかりである。右岸には、人が通れるような人為的な段差がついているが、これが例の遊歩道なのだろうか?。
 正面がナメ滝の連瀑になり、沢が右に曲がると突然目の前に桃洞滝が出現する。本当に不思議な形の滝である。なぜか左岸にステップが切ってあり、それを利用して登る。桃洞沢,赤水沢全般に言える事だが、通過が困難な所は岩を削ってステップが切ってある。本来ならばつるつるで苦労する筈の所も簡単に通過できてしまうのだ。いったい誰が何のためにつけたのだろうか?。
 滝上もナメナメナメの連続(というよりナメではないところが存在しない)である。本流を右に分ける頃から現在位置確認を怠らないように注意しながら歩く。さすがにこの辺りになると倒木や堆積物でナメ床が見えないところも多くなるが、傾斜は一向にきつくならず最後まで登るというより歩いている感じだ。沢形が消え、938m峰南のコルに出たことを知る。そのまままっすぐに樹林の中を3分程歩くと、再び、今度は赤水沢支流のナメに出合う。
 こちらのナメは桃洞沢以上で源頭まで完全にナメで形成されていて(すごい!)、まさに舗装された道を下るかのようである。ナメの下降は、傾斜が少しきつくなるとなかなか迫力もので、気合いを入れて駆け降りなければならず思わず笑ってしまう。いくつか滝もあるが、特に問題なくどんどん下ると、2段10mで行く手を阻まれる。ここは左岸の草付きスラブを巻くが、最初大きく巻きすぎて失敗した。出来るだけ小さく巻いて2段5mを下ると40m大滝(観光パンフレットには“うさぎ滝”)である。この滝は緑色の苔におおわれて大変美しい。上部は左岸のステップを使い、下部は思い切って水流を右から左へ駆け下りた。大滝の釜には岩魚がたくさん泳いでいたので、竿を出すとすぐに1匹釣れる。なかなかの良型。写真を撮って放してからまた糸をたらすと再びすぐに同じくらいの型が釣れてしまう。再度放して釣りはおしまい。美しいナメ滝と岩魚が泳ぐ広い釜、この明るいのどかな光景にすっかりいい気分になってしまった。
 赤水峠への沢が出合う少し手前で3人の釣り師に会う。私の下降してきた沢に入るなんてなんと不運な!。あとは両岸スラブのきれいな“天国の散歩道”でビール休憩してのんびりと下った。

 ナメしかない沢なんて本当にあるもんなんですね。全く遊園地でも散歩してきたような不思議な気分でした。森吉山周辺は最近観光開発が盛んなようですが、今回歩いた2つの沢などは、これ以上人間の手を入れずにこのままの形で残したいものです。


コースタイム
臨時駐車場(4:30)―桃洞沢出合(5:28)―桃洞滝(5:50)―938m峰南のコル(7:30)―赤水峠登山道出合(9:30)―臨時駐車場(11:00)


遡行図
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