ニュージーランド ホックステッタードーム登頂記

1996年3月21日〜30日    メンバー:森田(真),森田(伸)


 ホックステッタードーム(2810m)はタスマン氷河のどんずまりにある山で、Southern Alps のMain Devid では最も簡単に山頂に立てる山のようである。アプローチはヘリコプターで、下山はスキープレーンでと何とも贅沢な山行であった。おまけに現地の山岳ガイドをお願いしたので何の心配もいらないかわりに、Kiwi English でのコミュニケーションに不安があったがまあそれもよかろう。

3/21 12:00成田発SQ977便でシンガポール経由で翌3/22、10:15クライストチャーチ着。クライストチャーチからマウントクックへの便は離陸はしたもののエンジントラブルでクライストチャーチに引き返してしまい、かわりに航空会社のチャーターしたバスで行くことになったので、マウントクック到着は22:00頃になってしまった。今宵の宿ハーミテージ(マウントクックの最高級ホテル)にて豪華な夕食をとった後(トラブルに巻き込まれた我々にはホテルからワインが1本サービスされた!)、就寝。

3/23 曇り時々雨。午前中、アルパインガイド社で我々のガイド、ジェリー・ケネディ氏と会い日本から持って行った装備のチェックをする。午後は天気も悪く、疲れていたのでのんびりと過ごす。

3/24 午前中はガイドとロープワークの練習をして、12:00頃マウントクック空港からヘリコプターで出発。あっという間にタスマンサドルハットのすぐそばに着いてしまう。小屋迄はほんの少しの歩きなので、全装備を背負っていても全く問題にならない。小屋にザックを置いた後、周辺をアンザイレンして少し散策する。氷河上を歩くときは常にアンザイレンして歩く。従って1人で勝手にその辺をふらふらする事は出来ないので若干うっとうしい。小屋は無人だが、コンロ、燃料、食器等完備で、ベットのマットもやわらかく快適に過ごせる。今夜の夕食はラム肉とじゃがいもの豪勢なものであった。食事は全部ガイドが作ってくれるのだが、我々2人はどうも自分達だけ何もしないで待っている事に馴染めず、後片付けはやることにする。

3/25 無風快晴。朝食をとり8:00頃小屋からクランポンをつけてアンザイレンして出発。雪面は締まっていて歩きやすい。ホックステッタードームの基部にとりつき斜度が増してくるあたりから幾つかのクレバスを避けながら右へ左へ方向を変えて歩く。クレバスの延長線上を歩く時は、慎重にアイスアックスで確認しながら歩く。とは言ってもそれらは全てガイドがやってくれるので、私達2人はその後を追うだけなのである。頂上直下は斜度が増し、さらに雪面が硬くなり少々緊張させられたが、それを過ぎるとなだらかなWest Peak の山頂へと着く。山頂からの展望は全く素晴しく、南側にはすでに見慣れたMt Cook,Mt Tasman,Malte Brun,Mt Darwin などの山々、すぐ間近にはMt Elie De Beaumont、北側には今日初めて見る山々と眼下には雲海が広がっている。ヨーロッパアルプスさながらの景観を前にビールといきたいところだが、残念ながら持ってきていない。 小一時間の休憩の後下山にかかるが、今度は雪がくさり始めてだんごになる。小屋に戻って昼食をとり、小屋の前で少々昼寝などしてから下山にかかる。下山と言ってもスキープレーンの着陸(着氷?)する所まで2時間もかからない。再びアンザイレンしてクレバスを左右に避けながら観光客まで飛んでくるタスマンサドル下まで歩き、車輪にスキーをつけたセスナ機でマウントクック空港へと飛んだ。クック村に帰りジェリー氏と共にKiwi Beerで祝杯をあげたのは言うまでもない。

3/26 天気はまたも快晴。今日は2人だけでセバストポール山へのハイキングである。セバストポール山までは、まずレッドターンズと呼ばれる山上湖までのハイキングコースをたどりそこからは踏跡づたいに山頂へ達する。レッドターンズまでは大変立派な道で一般の人も来るようだ。池塘が美しく、景色も良い。その先しばらくははっきりした道がついているが、岩稜になってからはどうもあやしくなり、最後は面倒なので適当に岩を登って頂上に着く。展望絶佳。遠くプカキ湖も見える。昼食をとった後さっさと下ってワインとステーキでクック村最後の晩を楽しむ。

 翌3月27日は13:00発の便でクライストチャーチへ向かい、その晩と翌日2泊して市内観光。3月29日11:30発SQ288便(オークランド経由)でシンガポール乗り継ぎ、SQ998便で成田に3月30日6:35到着。22時間もかかった。

ホックステッタードーム地形図
セバストポール山地形図

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