巻機山 登川・金山沢

1995年9月2日  メンバー:貞弘,平川(麻),森田

 今回の集中山行は、米子沢と金山沢から巻機山に登り避難小屋に集合という計画になった。9/1 22:00新宿集合、途中山室さんVOLVOがパンクするハプニングがあったが、無事全員桜坂駐車場に集合、テントをはり仮眠する。
 翌朝米子沢隊とわかれ車で入渓点の神字橋へ向かう。8:25遡行開始。樹林の中のゴーロを1時間ほど歩く。意外に水がきれいで魚影が濃い。竿を出したくなるが今回は持ってきていない。すずめばちの巣がある小滝などいくつかの滝を越すときれいなナメ滝が連続する。フリクションぎりぎりの所もありなかなかおもしろい。ナメ滝を越すと右から黒岩沢が流入する。ここからやや傾斜を増し滝の連続する沢を行くとすぐに正面に40m滝が横向きに右から落ちているのが見える。直登は無理で左岸の踏みあとらしいものを辿ったが途中ですぐなくなり潅木を漕いで落ち口へ出る。
 この滝を越えると遠くに第1スラブが見えるようになる。期待と不安が交錯する。トイ状のナメを貞弘さんはトイの中を、他2名は上の乾いたところを登ると右から沢を合わせていよいよ第1スラブとなる。基部の平らな岩盤の上でゆっくりスラブを眺めながら昼食をとってから登攀にかかる。水流左から左上してスラブの左端をアンザイレンしてブッシュにつかまりながら登り、最後は再び水流側にトラバースして水流左を直上して落ち口に出る。それほどの苦労もなく1時間もかからなかった。
 さらにナメや滝が連続し、左を巻きぎみに登るところがちょっと危ない滝を越えると第2スラブの下に出る。 さすがに圧巻である。じっくり下からルートを見定めるが、登ってみなければわからないといった感じでとりあえず水流左のホールドが豊富なフェースに取り付く。だんだんホールドがなくなってきて、クラックの走る小カンテを左上、ここでロープを出し小指程の太さのブッシュでセルフビレイを取って確保。ここから貞弘さんがどんどんロープをのばす。スラブ自体がとても大きいため、スケール感が狂ってしまって40mロープがあっと言う間に伸びきってしまう。2ピッチいやらしいカンテが続き、たどり着いたテラスでこれからどうしようか考えるが、水流沿いに戻る事は不可能なので選択の余地はなく4P目は5m程の壁を登ってそのまま急な樹林の中へ突入。しばらく直上してやや傾斜が緩くなった所で右へトラバースすると、運良く落ち口が見えるところに出たのでそのままトラバースして支沢から落ち口に下降する。最上部は高巻きとなったが何とか無事に第2スラブをクリアーした。
 核心部は終わったがほっとする暇もなくまだまだ滝・ナメ滝が連続するが、たいして困難なものもなくどんどん高度を上げていく。稜線が遠く望まれ、左に沢を分けて右側に曲がるあたりからもうすっかり源頭の雰囲気で夕日に染まる笹原が美しいがそれでもまだ小滝が続き、釜に入ったり、巻いたり、シャワークライムまで出てくる。
 最後の二俣を左に入った頃には辺りは完全に暗くなりヘッドランプを出す。忠実に沢をつめ上げ、行く手を笹でふさがれたところでひとかき笹を漕いで一歩上へ出るといきなり割引岳のシルエットが目に飛び込んできた。そこは月明かりに照らされた稜線の笹原であった。腰くらいの笹漕ぎ30秒で登山道に出る。時刻は既に19時を指していた。とりあえずビールで乾杯して避難小屋へと向かう。19時55分避難小屋の天場に張られたテントに到着。米子沢隊が用意していてくれた夕食をいただきビールで乾杯して再会を祝した。


コースタイム
神字入り橋(8:25)―稜線(19:00)―幕営地(19:55)



遡行図
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